自由英作文講座

自由英作文とは?

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自由英作文」とは、例えば「あなたの好きな季節は何ですか?(What is your favorite season?)」であるとか、「政府は失業者に対する支援を増やすべきだと思いますか?(Do you think that the government should provide more support for unemployed people?)」といったような大まかなトピックが与えられて、それに関して自分の意見や感想、分析を英語で述べる小論文形式の問題のことです。

もちろん、いくら「自由」とは言え、小学生の夏休みの作文のように何でも好きなものについて自由勝手に書けるような作文問題はまれです。たいていは、与えられた1つのトピック、あるいは複数のトピックから1つを選んで、それについて書きます。さらに、例えば「費用(cost)、職業訓練(job training)、勤労意欲(motivation to work)、貧困(poverty)の観点から述べよ」といった具合に「条件」が付加される場合もあります(英検英作文の例:クリック)。

不思議なことに、日本の英語教育において単に「英作文」と言うと、もっぱら日本語の文を英語に翻訳するだけの和文英訳問題のことを意味します。「条件作文」と言う語もありますが、これもキーワード指定・書き出し指定の和文英訳問題や、あるいは単なる語句並べ替え問題などを指します。これらの「ただ英文を手で書いてるだけ」問題と明示的に区別するために、解答者が書く内容を自分で考えて英語文章を一から練り上げる問題には「自由英作文」あるいは「エッセイ問題」の呼称が用いられます。

英語ではこの種の作文のことを「composition」と呼びます。アメリカの大学では1年次にcompositionのコースをとることが必須になっていて、ここで大学レベルの論文・レポートの書き方を徹底的に叩き込まれます。なお、日本語で言うところの「レポート」に相当する語は「(research) paper」、四大の卒業論文は「thesis」、院の学位論文は「dissertation」と言います。「essay」はreportより短めの筆記課題(writing assignment)を意味し、レポートのように学生が家で書いてプリントアウトして提出するものだけでなく、中間・期末テスト内で出題される長めの記述問題なども意味します。例えば授業で習った理論や概念を説明させる問題や(例:「幹細胞研究における進展と懸念について述べよ(Describe the positive developments and the concerns regarding stem cell research)」)、文章の抜粋を読ませてその内容に関して書かせるもの(SATエッセイ問題の例:クリック)など、序論・本論・結論の体裁を要しないものも含みます。


英作文の重要性①:大学入試改革

現行の学習指導要領はすでに「読む」「聞く」「書く」「話す」の4技能育成を推進するものになっていますが、大学入学共通テスト(旧センター試験)のようなマーク式試験では後二者の「書く(ライティング)」と「話す(スピーキング)」の技能を測定できないという問題がありました。このため、2020年度の大学入試制度改革より、移行期間を経て英語科目に関しては大学入試センターが実施する試験は終了となり、英検TOEIC(ETS)などの民間団体へ検査を委託する計画が打ち立てられました⋯:
  • 英検(2級):一次試験はリーディング(マークシート、38問)とライティング1問(意見作文、80〜100語)で85分、リスニング(マークシート、30問)で25分。二次試験は面接形式のスピーキングテスト。レベルは公立高校卒業程度(センター試験と同程度)。

    英検の方でも大学入試制度改革に呼応してか、2級(2016年度)、準2級、3級(共に2017年度)の各筆記試験に自由英作文が導入されました。また、1級や準1級の自由英作文問題も、言語試験の共通基準であるCEFRとより整合性の高い形式のものへと変更されました(TOEFLのIndependent TaskやTOEICのOpinion Essayに近いものになりました)。

  • TOEIC:LRはリーディング75分(マークシート、100問)、リスニング45分(マークシート、100問)。SWはスピーキング20分(コンピュータ画面の指示に従って口頭解答;文章音読2問、写真描写1問、質疑応答3問、情報分析3問、解決策提案1問、意見作文1問)、ライティング60分(写真描写5問、メール作成2問、意見作文1問)。

    2018年(平成30年)度より英検準1級以上、TOEIC780/990点以上、TOEFL iBT71/120点以上、TOEFL PBT530/677点以上でセンター試験の英語科目を満点と換算する案がありました

その後、共通テストにおける英語民間検定試験と記述式問題の導入はまだ「実現は困難」とのことから一旦断念される形となりましたが、今後の国公立大学入試においてライティングとスピーキング技能がより重視される流れになっていくことに変わりはないと思われます。

また、私立大学入試においても、これまでの文法・読解に偏重しがちだった入試を改めるべく、英検やTOEIC、TEAPTOEFLのスコアを利用した入試制度を採用するところが続々と増えてきています。

このように、今後の英語入試においてスピーキングと共に自由英作文の重要性がどんどん増していくであろうことは、火を見るよりも明らかでしょう。

スピーキングテストは、英検の二次面接やTOEICのSWにより行われます。これについても茗渓予備校では通常授業の一環で指導を行っています。


英作文の重要性②:英語のアウトプットの機会

Freshman Composition
「日本人は中学・高校・大学と都合10年近くも英語を勉強していながら簡単な英会話すら満足にできない⋯」とは、日本の英語教育を揶揄(やゆ)して長らく言われ続けてきたことですが、同じことがライティングについても言えます。中学から英語学習を始めて2、3年になる生徒たちに初めて本格的な英作文を書かせると、まるで文章の体をなしていないメチャクチャな代物を書いてしまうことがよくあります。(もしかしたら世の多くの大学生や大人たちもそうかも知れません。)

外務職員局(FSI)の調査によると、英語を母語とする人が日本語をある程度話せるようになるまでに一年弱(44週間)を要するとされています。逆に日本人が英語を習得するのにもだいたい同じくらいの期間を要するとするなら、中学2年生、3年生ともなればすでに十分な学習時間を費やしてきているはずです。現に語彙の知識が十分なのは書かれた英文からも見て取れるのですが、残念ながらそれらが「文」になっていないのです。会話はともかくも、文法については学校や塾でも相当力を入れて学習してきているはずです。それなのに、なぜでしょうか?

これは、上述の大学入試制度改革に至った経緯にもあるように、日本の英語教育において英語のアウトプット、「書く」と「話す」の実践が著しく不足しているからに他なりません。日本の多くの学校・塾・予備校の英語授業では、せっかく学習した文法を使ってまとまった文章を書いたり、あるいは会話を練習する機会がほとんどありません。穴埋めや並べ替え、短い例文和訳・英訳の問題演習をある程度やったら、どんどん次の文法事項へと進んでいってしまいます。また、生徒側でも、英語学習の主な目的が高校・大学の入学試験というのもありますが、やはり手をつけやすい文法・語彙の学習だけがどうしても先行しがちです。

数学などの科目と異なり、英語は元来「学問」ではありません。英語は第一義にはコミュニケーションのための「道具」です。道具というものは実際にたくさん使って始めてその使用法が身に付きます。読解ばかりやっていればコミュニケーションとして片手落ちであるのは言うまでもありません。相手から来る情報を受信するだけではなく、自分の側から発信していくトレーニングが必要不可欠です。文法も、それを会話や文章の中で実際に活用せずに、ただただ文法規則だけを黙々と暗記するようでは、いつまでたっても「畳の上の水練」状態から抜け出すことはできないでしょう。

使わないものは、必要のないものです。必要のないものを無理やり覚えるのは至難の業です。留学や海外出張で英語圏に在住することになった人たちは日々の生活における必要性から英会話や英語による読み書きを習得せざるをえませんが、日本において英語は、入試などの歪(いびつ)な二次的必要性があるだけで、生活を営むのにおいて必須の技能ではありません。しかし、そうであれば、自ら必要性を作ってしまえばよいのです。英作文は、この「必要性」を提供してくれる格好の機会となってくれます。教科書や日々の英書講読などを通して学んだ英語知識を容易にアウトプットできる貴重な機会として英作文を英語学習に取り入れることは大変有効です。また、目の前に話す相手を必要とする英会話と違って、英作文は家庭でもパソコンやインターネットを利用して手軽に実践できます。いったん英作文の技能を身につければ海外の人との交流も思いのままです。

英作文で自分の考えを表現するために頭を悩ませ言葉を選び文を作ることで、英語知識は本当の意味で「自分のもの(=表現語彙、active vocabulary)」になります。こうして身につけた英語知識は、単語帳などで無理やり詰め込んだものとは比べ物にならないくらいずっと強く頭の中に定着します。さらには、英作文で培った英語知識は、転じて読解やリスニングなど他の英語技能向上にも寄与するという嬉しい副次的効果もあります。


なぜ「指導」が必要なのか?

Freshman Composition
前述の米外務職員局(FSI)の調査は、英語話者が日本語習得に一年弱(44週間)を要するのに対し、ドイツ語の場合だとその半分以下の16週間で十分であるとしています。これは、ドイツ語が英語と同系統(西ゲルマン語群)の言語であるためより学習しやすいことによります。日本語と英語の場合、文法、語順語用文の成分の扱いなどにおける大きな違いから、日本語で考えた内容をそのまま英語に直訳するととても不自然な文章になってしまうことがままあります。ですから、読解力養成の「多読」と同じ調子で、ただ単にたくさん英文を書いているだけではなかなか作文力は向上しません。

では、どうすればいいのか。やはり英語の堪能な人に自分の書いた英作文を読んでもらい、添削してもらうのが一番です。書いて、直されて、を繰り返すことで次第に英語文章作成のコツ・感覚をつかんでいくことができます。この「感覚」は、長文読解や文法・和訳問題の類だけをいくら沢山こなしていっても永遠に身につくものではありません。頭で理解しているだけでなく、体で覚える必要があります。

参考書や問題集を一人黙々とこなしていくことでもある程度の学力向上が望める長文読解や文法問題と異なり、自由英作文は自己採点ができませんから、独学オンリーで作文力を向上させるのは至難の技です。学校などの集団授業でも、何百人といる生徒の作文を数人の先生が採点・添削する労力・時間は膨大なものとなりますから、そうそう多くの時間を割いてはくれません。そこで、茗渓予備校での英作文指導が大きな助けとなるわけです。

古き「悪しき」受験英語における英作文対策の一つに、まず使えそうな構文を何百個とまとめて覚えて、これらをパッチワークキルトのごとく継(つ)ぎはぎして文章を作る「英“借”文」というものがあります。受験テクニックとしてはある程度有効かも知れませんが、「作文」であるからには、日々の学習・生活において実際に見聞きして、自らも繰り返し使用して血肉となったような「自分の言葉」で自分の考えを記すのが本来のあるべき姿なはずです。いかに点数を効率的に稼げるかだけを念頭に借り物の表現で塗り固めただけの文章は、受験テクニックの姑息な産物でしかありませんし、そんな芸当が可能になったところで本当の意味で英語文章が書けるようになるわけでは決してありません。

「単語」は暗記さえすれば書けるようになります。しかし、暗記した単語を並べただけでは「文」にはなりません。文も構文を丸ごと暗記すれば書けるようになりはします。しかし、そうして暗記した構文を単に並べただけではロクな文章になりはしません。さらに長い複数段落にまたがるような本格的文章ともなれば言わずもがなです。英借文のようなことは日本語の作文では誰もやりませんし、英語圏の学校で生徒たちが書く作文でも当然やりません。これは一部の日本人英語学習者の間でだけまかり通る実に奇妙な慣習です。

そもそも実用性に欠けると批判され続けてきた学校英語・受験英語への反省から、入試制度改革で「書く」「話す」の2技能を重視する試験へと変更されたわけです。それを、これまで同様に小手先だけの稚拙な受験テクニックで誤魔化し続けようというのであれば、改革の理念を真っ向から否定しているようなものです。

上述の米大学の作文コースでも、作文の基本となる型や論理展開の方法などについてはしっかり学習しますし、論文などでよく使われる洒落た言い回しをガイドブックの類で幾つかまとめて覚えて自分の書いた作文で使用してみるというのも必ずしも悪いことではありません。しかし、「テンプレ」と「キーフレーズ」だけで全てを済ますのは明らかに無理があります。言語習得の本道を忘れてはいけません。


茗渓での英作文指導

茗渓予備校では、英語の平常授業の一環においても必要に応じて自由英作文指導を行っています。平常授業においては大学受験対策、英検受験対策、あるいは学校の定期試験対策の中に組み込まれる形で実施していますが、例えば英検やTOEIC受験などに備えて、自由英作文のみを短期集中的に学習したい方には、当「自由作文指導講座」が最適です。

自由作文指導講座の授業は、以下のような流れになります:


英検、TOEIC、TOEFL、TEAP、その他大学入試問題の過去問および想定問題を授業内で実施します。基礎力の養成期間には、自分が表現したいことを和英辞書などを併用しつつ自力で何とか書かせます。学校の授業で最近習った文法なども積極的に活用させます。試験直前期には、辞書類のサポートは一切無しで、100%正しいと確信のある文法・語彙のみを使用して、本番同様に時間を計って実施します。制限時間内で作文を書き上げるコツ、書きたいことを表現するのに良い単語が思い浮かばない時にはどうすればいいかなど、受験テクニック的な指導も行います。

※茗渓予備校での指導はゼミ形式をとっていますので、同時間帯で平均3、4人ほどの他の生徒と一緒に受講する形になります(時間帯により1対1の指導になることもあります)。

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書き上げた英作文は、チェックリストなどを参照しつつまずは自分で見直し作業を行います。単純なケアレスミスであっても、普段から自分の力で見つけて直せるように訓練していなければ試験本番でパーフェクトな作文など書けようはずもありません。講師の添削に頼りっきりではいつまでたっても直りませんので、これは重要な作業になります。

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完成した英作文を担当講師がその場で添削します。文法知識と語彙知識のみを頼りに何とか一から作りあげたような文の場合、文法的には正しくても英語として不自然な表現になっていたり、あるいは自分が伝えたいことが効果的に伝えきれていないといったことがよくます。また、単語を和英辞書で調べた上で使用した場合でも、実際には自分の書いている作文の文脈ではその単語の使用が適切ではなかったというようなことがあります。こうした、単純な文法の間違いやスペルミスだけではなく、自分では気づけないような誤り、ニュアンスの違いなども含めて添削・指導します。

修正された表現は、以降の英作文において積極的に使用して自分のものとしていきます。自力でゼロから書いた文がそのまま修正無しでも正しかった場合には、自信を持ってこれを自分の十八番(おはこ)の表現とし、同じく繰り返し使っていくようにします。

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間違いを指摘された箇所が文法・語法知識の不足・誤りなどによるものの場合、その項目に関する解説を行います。ただし、本格的な復習や未習事項の導入授業、問題演習などはその場では基本行いません。これについては平常授業の方で行うか、あるいは自習用にどの範囲をどう具体的に学習(復習)すればよいかのアドバイスをいたします。

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添削後は必ず、指摘された箇所を確認・修正した上で、もう一度ノートにきれいに清書します。これも大事な作業です。添削された作文を見てはい終わり、ではほとんど何も身につきません。次回からは、この直された正しい文章が最初から自力で書けるように、目指していきます。

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以上を、時間が許す限り、授業内で繰り返し実施します。

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授業終了時に、宿題用の英作文課題を渡します。これは基本、時間制限ナシ・辞書使用アリで行います。これにより英文作成の基礎力向上を図ります。実施した英作文課題は次回授業時に提出して、講師の添削を受けます。


指導対象・指導時間・受講料

対 象
英検3級〜1級、TOEIC、TOEFLなどの受験を考えている方、入試で英作文が出題される高校・大学を受験する方。

時 間
基本は週2時間、3ヶ月間※1の指導となります。例えば「毎週木曜7時から」というように通う曜日を決めてもらいます。

料 金
小学生〜高2は24,960円/月(税込)、高3〜既卒は27,960円/月(税込)。これに教材・施設維持費が3ヶ月分一括※2で7,590円(税込)ほど加わります。

新規に当「自由英作文指導講座」から茗渓に入る生徒で、当講座を4ヶ月以上継続受講する場合は、英語科目での正規入会をしてもらう形になります(入会金免除;月謝は上記と同額;指導内容は、引き続き英作文指導を中心に行うこともできますし、総合的な英語学習指導に切り替えることも可能です)。

内部生の場合、英語の平常授業の講座を追加するのと同じ扱いとなります。すでに英語を受講中の内部生が当講座を受講する場合は、小学生〜高2は19,960円/月(税込)、高3〜既卒は22,360円/月(税込)。英語以外の科目を受講中の内部生が当講座を受講する場合は、小学生〜高2は22,480円/月(税込)、高3〜既卒は25,120円/月(税込)に加えて教材・施設維持費3ヶ月分の7,590円(税込)。

※1 1ヶ月、2ヶ月のみでも可。茗渓予備校の平常講座の場合は授業数が一年通年で調整されていますが、当講座は短期集中講座であるため月4回の授業数は振り替えなどにより確保いたします。

※2 教材・施設維持費は1〜2ヶ月受講でも同額です。

※3 授業日以外にも自習室が利用可能です。


無 料 体 験 授 業 実 施 中




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