TEAPとは?
英検と上智大学との共同開発で生まれた大学入試用の英語試験で、上智大学が来年(2015年度入試)から全学入試(一般入試の一部)の英語能力基準として導入されることになりました。TEAPはTest of English for Academic Purposes(アカデミック英語能力判定試験)の略語で、大学で学術研究をする際に必要とされる、アカデミックな場面での英語運用力(英語での講義受講、英語資料や文献の読み込み、英文によるリポート作成、英語での発言など)を正確に測定するためのテストです。資格試験のため複数回の受験が可能であり、その最高点を入試のために提出するような形で利用されます。つまり、受験のチャンスが何度も生まれることになります。
※今年度実施の結果に関しては、受験制度として活用できるのは、2015年度入試・2016年度入試となり、現高2・3生以上となっている(2014年6月現在)。
TEAPのレベル
「主に高校3年生を対象とした大学入試を想定して開発されています。テスト内容はすべて大学教育(留学も含む)で遭遇する場面を考慮して作成されており、難易度の目安は英検準2級~準1級程度。出題される問題は、英語の授業や英文資料の読み込み、英語のプレゼン等、大学教育で遭遇する語彙・場面・分野を想定した内容で、アカデミックな英語に特化しています。レベルは偏差値55以上の難関大学に適しているとされています。
TEAPの判定方法
受験者に試験結果をまとめた成績表が発行されます。成績表には今後の英語学習につながる、効果的なウォッシュバック(波及効果)を目的としたフィードバックの記載が予定されています。TEAPは『合否』を判定するテストではなく、現在の英語力『スコア』でフィードバックするものです。
TEAPの試験構成
- Reading test(70分:マークシートによる択一選択方式)
→英語で資料・文献を読む場面を想定 - Listening test(50分:CDによる放送・マークシート)
→英語で講義を受ける場面を想定 - Speaking test(10分:1対1の面接方式)
→英語で意見を述べる場面を想定 - Writing test(70分:解答用紙への記入)
→英語で文章を書く」場面を想定
TEAP考察
この試験の大きな特徴は「読む」「聞く」「話す」「書く」の4技能で構成されている点です。ReadingとListeningのサンプル問題は英検ホームページで公開されています。私も実際に解いてみたのですが、問題は非常にスッキリしたもので、日本のテストによくある奇妙な引っかけはなく、英語の実力のみが反映されるように工夫されているという印象を持ちました。その点では従来の大学入試試験よりもむしろTOEICやTOEFLのようにより実用英語を重視しているようにも思えます。
英語の技能分野を大まかに分けるとすれば、リスニング(L)・リーディング(R)・スピーキング(S)・ライティング(W)に分けることができます。また、日本の大学入試では非常に重視される、和訳という技能もあります。またその前段階として文法や語彙があります。そして現在の日本の入試問題はリーディングと和訳に大きく偏っています。また、スピーキングを試す学校はほとんどありません。当然のことながら受験ではリーディングと和訳、そして文法が中心なので、学校では子供たちもそれらを中心に教わることになります。
今回、上智大学と英検協会がチームを組んで作成したTEAPの狙いは、「大学入試を4技能に代替する」ことでウォッシュバック効果(目標となるテストがそれまでの教育手法に与える影響)を狙うことにありそうです。TEAPが全国の大学に普及していくかどうかはまだまだ未知数ですが、急激に改革が進むのは現実として難しいかもしれません。現状では4技能を試される場合に有利になるのは帰国子女の生徒さんたちです。しかし、もしこれが実現すれば中学・高校の英語教育は大きく変化していくことになるでしょう。