自由英作文を出題する大学の増加

近年、入試問題における自由英作文(エッセイ)の比重が高まっており、早慶を中心とする私立難関大学で自由英作文が扱われることが多くなりました。また、国公立大学では現在ほとんどの大学で自由英作文が課されるようになりました。

自由英作文は、書き方を指導している学校はまだ少ないようです。もちろん、定期試験に出題されることはあるのですが、添削された解答を見ながら生徒さんが自己流でスタイルを作っている場合も多く見受けられます。ですから正しい書き方を身につけて「しっかり対策している人」と逆に「対策をしていない人」の差がほかの分野より大きいのです。このため点差が大きく開くことになり、入試英語の中心と考えられてきた長文読解以上に自由英作文が合否のカギを握っているとも考えられます

自由英作文問題例

自由英作文はほとんどの場合平均して100語程度書くことが求められます。この範囲で自分の考えていることの概略を伝えなくてはいけません。文法面も大事ですが、それと同等以上に論旨や構成が大切になります。ですから十分な準備をしておくことが非常に重要になります。しかし、自由英作文は裏を返せばきちんと準備をすることで他の受験生に対して大きなアドバンテージを得ることができる分野です。その理由の1つは自由英作文の書き方をきちんと理解し練習している受験生が少ないため、良い英作文を書ける人と書けない人の間で点差が大きく開きやすい、ということが挙げられるからです。受験生の間で比較的多い誤解の一つですが、自由英作文は独創的な内容を難しい文章を使って(倒置構文や強調構文等)表現すれば点数が高くなる、ということがあります。しかし試験全体の中で自由英作文に費やせる時間はせいぜい20分といったところです。その短い時間で完璧な論理の答案や難易度の高い文章を書くことは当然期待されていません。ある程度読ませるものであれば十分に点数が取れます。しかしこの「ある程度」というのが実際に書いてみるとなかなか難しいものです。比較的易しい語彙を用いながら標準的な文法を使って論理的に書くということは、正しい書き方を理解したあとで、さらにしっかりと時間を使って繰り返し練習する必要があります。また、自由英作文を書く際にはひとつひとつの文章が正しい文法で書かれていることが求められます。ですから、自由英作文の練習を本格的に始める前の準備段階として「和文英訳」の練習をしっかり積んでおく必要があります。「和文英訳」を行うときに、それほど難しい文法は必要ありません。中高一貫校の場合、中学校レベルの文法でほとんど十分でしょう。ここで大切になってくることが一つあります。それは、中学校以から学んできた英文法を、自由英作文を書くための「道具」になるように、もう一度組み立てなおすことが必要です。これは今まで学習してきたことを逆方向(受信から発信)から見直すことになります。

自由英作と要約問題

自由英作文と関連した最近の傾向としては要約問題が挙げられます。以前から東大など一部の大学ではときおり出題されていましたが、ここのところ出題されるところが増えています。要約問題は文字通り長い文章を短く要約しなさい、という問題です。したがって、あまり重要でないところは切り捨てて、文章の中から本当に大切なものだけを抽出することが要求されます。要約問題の解答はできるだけ短く、それでいて不足が何もないような答案を目指すことになります。要約問題はこのあとお話しする自由英作文と表裏一体の関係にあります。自由英作文では本当に大切なもの(要約の抽出部分)をまず考えてから、さらに説得力を持たせるために文章を肉付けしていくので、要約とは逆方向からの作業になります。ですから自由英作文の書き方を理解してマスターすると要約の方法も見えてきます。

大学入試 自由英作出題例

  1. 英語は母語の異なる人々の間をつなぐ国際共通語としてもっとも中心的な役割を果たしており、子供たちが21世紀を生き抜くためには、国際共通語としての英語のコミュニケーション能力を身につけることが不可欠である、という考えがあります。これについてあなたの意見を70語程度の英語で述べなさい。
  2. あなたは、三世代家族(a three generation family)と核家族(a nuclear family)のどちらが好ましいと思いますか。100語程度の英語であなたの意見を書きなさい。
  3. あなたは英語を小学校から必修にすべきだと思いますか? 100語程度の英語であなたの意見を書きなさい。
  4. 次の設問に80語程度の英語で答えなさい。対面コミュニケーションの機会を減らすから12歳未満の子供には携帯を禁止すべきか?


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