茗渓予備校通信KIRI

2009年7月号

高大接続テスト

大学・短大への進学率は、1960年には10.3%、2007年には53.7%、専門学校へは24.1%となっている。国民の大半が高等教育を受けることになる。まさに「大衆教育社会」の到来だ。こんな中、中教審は2008年1月、「学士課程教育の構築に向けて」(答申)で、大学全入時代を迎え、一部の大学を除き大学入試の選抜機能が低下している状況を指摘している。その改善の方策として、①AO・推薦入試の「学力不問」の状況改善、②入学者受け入れ方針(アドミッション・ポリシー)の明確化、③調査書の信頼性や精度を高め、入試に活用、④新しい学力検査「高大接続テスト(仮称)」の実施などが提言されている。

現在、センター試験が実施されているのに、そのうえ高大接続テスト(高校と大学をうまく接続させる試験)まで課せられたら、たまらないのは高校側と生徒であろう。なぜ、こうした提言が行われるのだろうか。

教育界に「753」という言い方がある。小学校で3割、中学で5割、高校で7割の生徒が授業を十分に理解していない現状を言い当てたものだ。この論法でいけば、大学の授業についていけない率はどれだけになるだろうか。もはや、昔の大学のイメージではなく、大学に入ってからもう一度高校内容の再学習が必要になる。実際そうした状況は、かなりの大学に蔓延している。高大接続テストは、教育目的のテストであり選抜目的ではないという。このテストが定着すれば、センター試験にとってかわるかもしれないという。入試改革ではなく、限りなく「教育改革」に近いというが、今後、目の離せない話題ではある。