茗渓予備校通信KIRI
2012年10月号
小論文のこと
先日、小論文指導のカリスマ教師のO氏から、来春の小論文の目玉を聞きました。ひとつは、古市憲寿(東大文化総合研究科博士課程在籍中、最近はテレビにもよく出ます)の『希望難民ご一行様:ピースボートと「承認の共同体幻想」』(光文社新書)で語られる若者論。もうひとつは、福島の原発事故の直前に書き終えた開沼博(東大学際情報学府博士課程在籍中、福島県いわき市生れ)の『「フクシマ」論—原子ムラはなぜ生まれたのか』(青土社)です。両方とも、修士論文としてまとめられたものです。前者は新書として読みやすくしてありますから、らくに読めます。後者は、長い論文ですから読み終わるのにはそれ相応の決意がいります。
小論文は、①あるテーマについて自分の考えを書く形式、②課題文を読み、それに基づいて意見を述べる形式、③資料を読み解き、その内容について記述する形式、などがあります。
小論文に求められるのは、論理的な思考力(logical thinking)と試験官を説得できる表現力です。日本の学校では、これまであまり訓練してこなかったものです。日頃から本(漫画本ではない)や新聞を読んだり、自分の志望学部や学科にかかわる問題を調べておく探究心が求められます。高3生には、いまさらそんな時間は作れませんよね。できるだけ、低学年のうちから意欲的に取り組んでおかなければならない課題です。
私は、予備校では英語を教えていますが、英語力以前の問題として、こうした考える力を研き、日頃から社会問題への関心をもつ必要性を痛感しています。上位校の大学入試問題は、それが英語であってもこうした社会常識や考える力を試すものが多いのです。
そうそう、NHKの「受験の花道」でも参考になることをやっていました。入試担当者(仮面)の座談会で、書き出しと締めの大事さ(発想の斬新さ)を強調していました。
http://www.nhk.or.jp/hanamichi/