茗渓予備校通信KIRI

2013年12月号

中高一貫進学校の受験指導

今回はごく身近な問題を取り上げてみたいと思います。

いま茗渓予備校に通ってきている生徒の多くは、中高一貫教育の体制をひいている、いわゆる進学校の生徒たちです。当初は茗渓塾の私学部門のなかでこうした生徒たちを指導してきました。保護者の方々もよく御存じのように、私学は公立とは違い、それぞれ校風があり、進学指導においても長年つちかってきたスタイルがあります。教職員も公立のように、原則として転勤はありません。卒業生がその学校の教師になっていることもまれではありません。

こうした生徒たちを一斉指導で教えていくことは、ひじょうに難しいものがありました。そこで、茗渓塾とは一線を画して、茗渓予備校を立ち上げたわけです。おりしも社員教育の世界で、ひとを育てていく手法として「コーチング」の成果が注目を浴びるようになっていました。

私は、この「コーチング」の手法を私立の中高一貫教育のなかに、とりわけ受験指導に取り入れられないか模索してきました。これが茗渓予備校の「教科コーチング」であり、6人を基準とした専任教師だけによる個別指導なのです。

開設当初は、英語は「プログレス」、数学は「体系数学」を軸に指導力の強化を図ってきました。以後、英語は「トレジャー」(もともとは「プログレス」を真似ながら独自色を打ち出す)がZ会の販売力もあって私立で採用されることが多くなります。数学は「体系数学」が寡占状況と言っていいかと思います。そうした主力教材を軸としながらも、私立がそれぞれ独自に開発している教材にも目配りしながら、スタッフ全員が手を分け品を変え独自プリント・独自教材を製作し、生徒一人ひとりにあった指導方法を実践してきました。

長年指導してきて、一番肝心なことは、実は教材とかカリキュラムやシラバスにあるのではなく(それらを否定するものではありません。それらは当然の前提です。)、生徒一人ひとりに、学力の伸びに合わせて①教材を適宜、作成・編集し、②「やる気」を起こさせ、③集中力を高めながら、④「継続こそ力なり」を実践させていくことだと確信しています。指導が面白ければ、学力は加速度的に伸びていきます。

①教材は指導の道具です。生徒とのやり取りが学力増進のカギです。②なぜ勉強するのか。ときに立ち止まらせます。スモールステップで学習成果を実感させます。③机に向かうだけが学習ではありません。体力、精神力、感性も、学習への集中度を下支えします。④なにごとも三日坊主ではことは成就しません。「今でしょ」もいいですが、「継続でしょ」とも付け加えたい。

どこまで生徒と真剣勝負で向き合えるか。今年一年の反省を込め、来年を展望していきたいと考えています。