茗渓予備校通信KIRI
2013年5月号
大学入試:ニュースの裏側
東大「秋入学」はその後どうなったのか?
去年もこの誌面で取りあげたニュースですが、結局この構想はとん挫してしまいました。メディアが騒いだわりには、あっけない幕切れとなりました。各種メディアによって報道される、大学入試に関する改革はそのほとんどが実現しないまま姿を消してしまいます。それほど日本のシステムは盤石なようです。
「秋入学」は日本の大手企業が現在の雇用システム(就活の仕組み)を変えない限り、実現する可能性はあり得ないのです。つまり、通年採用を行わない限り、大学側の一方的な夢と消えてしまいます。実は、東大が「秋入学」にこだわったのは優秀な留学生を確保するためですが。
東大の「推薦入試」はどうして打ち出されたのか?
東大が「推薦入試」を行うことにしたニュースは皆さんご存じと思います。後期試験で募集する100名をそっくり推薦で合格させるというものです。これにも裏があります。
京都大学は2007年度から後期試験を廃止し、前期一本に募集を絞りました。当初、東大と組んで前期一本化を画策しましたが、他の国立大学の猛反発をみて東大は後期の規模を縮小する方向に転換。これ以降、東大と京大の確執が進み、国大協(国立大学協会)は機能不全に陥っています。ここへきて、東大が推薦入試を導入するのは、これもまた優秀な人材確保のためと思われます。それにしても東大からノーベル賞受賞者が少ないのはどうしてでしょうか。