茗渓予備校通信KIRI

2014年9月号

学力の高い生徒のタイプ

8月25日に公表された「全国学力・学習状況調査」では、子供たちの学習状況や生活習慣も調べ、それと学力のかかわりにも触れていた。これは、今年の4月に文部科学省が教育委員会や学校法人などの協力を得て、全国の国公私立の小中の小学6年生と中学3年生の約220万人(原則学齢期の全生徒)を対象に、国語と算数・数学A(基礎)・数学B(応用)計4教科のテストに合わせて尋ねたものである。

児童生徒の学習環境や生活習慣、学校における指導の教育条件の整備状況等と学力の相関関係を分析し公表すると謳っている。資料は、国立教育政策研究所のホームページに掲載されているので興味のあるかたはご覧になるといい。

主な論点を拾ってみる。①家庭での学習時間が長いほど成績が高い。これには塾や家庭教師について学習する時間も含まれている。②計画的に学習し、家で復習する子供ほど学力が高い。③読書が好きで、総合学習などに積極的に取り組んでいる子ほど、全教科にわたって好成績をあげている。

どれもうなづける結果だが、塾・予備校を通して40年近く学習指導をしてきた経験からもう少し立ち入って考えてみたい。学力が高いお子さんは、総じて好奇心が旺盛で、自分の頭で考えるタイプが多い。現在、茗渓予備校では茗渓塾の時代と違い一人ひとりの生徒の学習状況をみながら個別の教材を作成している。与えた教材を1から説明しなくても、自分で考えてどんどん問題を解いていく生徒は学力の伸びが驚くほど速い。また、その日のうちに復習を家庭でしている生徒ほど着実に伸びる。家庭での復習を短時間でもいいから必ず実行するように仕向けえいるが、ご家庭ではいかがでしょうか。

最近、自戒の念を込めてでもあるが、教えすぎはかえって生徒の伸びを鈍くしてしまうことに気をつけている。至れり尽くせりの指導は思ったほど効を奏しない。学習の基本を押さえていけば、多くは生徒自身が自分の頭で考え始めるものだ。ただ、英語などの場合、PP-dictionary(privateのP,portableのP)を作って、知らない単語や熟語など日常的に語彙力をつけていくように促しているのに、いまだに実行しないようでは英語学習は始まらない。

ネットやゲームの時間が長いほど、すべての教科で平均正答率が低い。もはやスマホなしの生活は不可能だが、道具として使っているのか暇つぶしで遊んでいるかで大きな差が出る。新聞やニュースを読んだり見たりしている習慣が、社会への関心度という点で学力の底支えになっていることも指摘しておきたい。