茗渓予備校通信KIRI
2015年4月号
受験の風を読む—首都圏の中学入試・高校入試(大学入試編は5月号へ)
3月半ば、桜の開花が話題になり始めたころ、首都圏の入試に詳しい方々の情報交換の場に参加させてもらいました。この号が届くころには入学式も終わり、新入生諸君は新しい門出にこころ躍らせていることでしょう。
中学入試
今年の中学入試で最大の話題は、なんといってもサンデーショックの影響がどうでるかだったが、その影響は少ない。サンデーショックとは、プロテスタント校が日曜日(礼拝日)での入試を避け2月2日に入試日を移すため、たとえば中学入試に大きな影響を与える女子学院と桜蔭・雙葉を併願することができることをいう。確かに、女子学院は227名、雙葉は168名応募者数を増やしたが、前の時と比べると大勢に大きな変化はなかった模様だ。傾向としては、男女とも難関校が軒並み受験者数を増やしている。新中1生は大学入試改革の実施初年度に大学受験を迎えることになり、『週刊朝日』や『サンデー毎日』で毎年恒例になっている東大京大など難関大学への合格実績の数字が、6年後どうなっているかは興味のあるところだ。
都内公立中高一貫校11校のうち武蔵高校付属を除いてすべてが受験者を減らしている。欠席者や辞退者も増えており、私立との併願が多くなっている。一服感がある。国立大学の付属も受験者数が減っており、この辺が狙い目か。
もうひとつ、「グローバル社会」を意識したコース・クラスがめだち始めた。小学校での英語教育の影響もあり、英語入試(<英語+1科、英語+国語・算数>というケースが多い)が急増していることも触れておかなければならない。
高校入試
高校入試は、近年ほとんどが中学入試で勝負が決まったという感じだが、来春は都立で大きな変化が見られそうだ。都立は来年度からすべての学校(専門学科を含む)で、学力検査:調査点=7:3に、また当日の受験科目は5教科になることが決定された。都の教育委員のなかに学校種による区別を問題視する意見が従来から根強くあり、今回その意見が制度化されたことになる。これにより、私立への傾斜はかなり強くなることが予測される。
多くの受験関係者の報告を聞いていると、受験戦争といわれるほどの一昔前の過熱感が薄れている気がします。ただ、受験の世界でも格差がますます開いてくる事例が数字のうえでも顕著になっています。少子化とグローバル化は避けて通れません。貴重な人材を幅広く育てていく国家・地方自治体の政策が求められます。