茗渓予備校通信KIRI

2015年7月号

都立高校入試が来春から大幅に変更

本紙の読者は都立受験者はほとんどいらっしゃらないと思いますが、来春から入学者選抜の方法が大幅に変更となりますのでご報告しておきます。一旦変更されると15年間ほどは大筋で変更がないと言われています。以下、大きな変更点のみ記載しておきます。
  1. 原則としてすべての全日制の高校は一次では5教科受験となります。例外として体育科(駒場・野津田)と芸術科(総合芸術)は3教科と実技となりました。
  2. 原則としてすべての全日制の高校では一次募集では「7:3」(学力の比重が7割で、換算内申点を3割とする)となります。従来は、「7:3」「6:4」「5:5」「4:6」から各高校が選択できていましたので、受験生にとっては実力(学力)重視の入選となります。東京都の教育委員会では、①と合わせ、なぜ全都立一律に出来ないかという声が大きくなっていました。実際は特色ある都立高校づくりに沿って入選もさまざまな形を取ってきたのですが、それだけ、入選が分かりにくく、複雑になってしまったという側面もありました。背景としては、「教育基本法」や「学習指導要領」の改定など教育を取り巻く環境が、中学における基礎学力の確認や学力重視の方向に向いてきたこととも関係がありそうです。センター試験の見直しなど大学入試改革と軌を一にしている面があります。
  3. 内申換算について。従来は、通知表の評定を、学力試験を実施している教科は1倍、学力試験を課さない教科は1.3倍し、合計を換算内申点としていましたが、来春からは、学力試験を実施している教科は今まで通り1倍し、学力試験を課さない教科は2倍することにしました。したがって、オール5の生徒は従来だと51ポイントになるところが、来春からは65ポイントになります。試験を課さない教科の比重を大幅に増やしたことになりますが、合否全体のなかでの比重は7:3となったわけですから、上位校はともかく中堅下位の都立高校への影響はかなりあるでしょう。私立へ流れる要因ともなるでしょう。
  4. 特別選考がなくなりました。募集人員の1割もしくは2割を実施校が事前に公表する独自の選考資料に基づき選抜する制度のことですが、来春からは廃止されます。
  5. 学力検査は一部マークシートによる解答となります。これは、新聞等でも大きく取り上げられた、採点ミスや集計ミスを防止するための対応です。