茗渓予備校通信KIRI
2015年9月号
大学を取り巻く環境—入試のトレンドを探る—
一言でいえば、受験生には入りやすく、大学にとっては経営が厳しくなっているのが現状だ。18歳人口は1992年の205万人から2015年の120万人へと激減し、今後10年間で106万人へとゆるやかに減少していく。少子化のもとで大学進学率は51.5%まで上昇し、大学数学部数も増加し、この30年間で大学は321校増えている(約1.7倍)。大学志願者数は92.0万人(1992年)から65.8万人(2014年)へと28.5%減少。その間、入学者は54.2万人から60.8万人へと12.2%増えている。その結果、私大の45%が定員割れを起こし、毎年数校が廃校となっている。一部の難関校を除き、難易度が役立たない時代に突入した。すでに中学入試においても「進学実績・偏差値に頼らない新学校選び」(週刊ダイヤモンド8月22日号)が特集されている。先月号で話題にした文科省による「新テスト導入」もこうした文脈の中でとらえておく必要があるだろう。
今年の大学入試の特徴は①現役指向、②安全志向、③地元志向の3点にまとめられる。ひとつだけ数字を紹介しておこう。以下の数字は各大学の合格者に占める首都圏(1都3県)の占有率である。
- 東京外語 2015年 60.5%←2005年 38.0%(22.5%増)
- 一橋 69.7%←54.1%(15.6%増)
- 慶応 71.7%←57.7%(14.0%増)
- 筑波 37.9%←26.3%(11.6%増)
- 東大 55.3%←48.4%(6.9%増)
- 早稲田 73.1%←62.4%(10.7%増)
- 上智 84.3%←80.9%(3.4%増)
- 芸大59.2%←61.6%(-2.4%減)
- 首都大東京60.2%←58.7%(1.5%増)
ただここで留意したいのは、志願者が上位校に集中している事実である。全国私大のなんと50.8%が上位私大26大学に集中している。つまり、一部の有名私大に人気が集中し、寡占化がすすんでいるのである。少子化で入りやすくなった大学ではあるが、上位校は相変わらず難しいということだ。早いうちにしっかり志望学部志望大学を検討しよう。秋にも茗渓では受験セミナーを企画しています。
※数字は主に大学通信情報調査部・編集部による