茗渓予備校通信KIRI
● 東京都の「英語教育戦略会議」の報告書について主任指導主事の米村先生に聞く(詳細は、都教委のホームページで)
日本の教育行政は文部科学省(初等中等教育局)⇒都道府県教育委員会(事務局)⇒市町村教育委員会(事務局)⇒校長という下降型の行政システムになっている。東京都においても文科省のいう4技能を踏まえた「使える英語力」の向上の線に沿って、いろいろ手を打ってきた。この報告書の提言7(4技能を測る高校入試試験導入の検討)のなかで、今後スピーキングの検査を実施することを求めている。また、大学入試で近年採用が増えてきたTEAP(Test of English for Academic Purposes)を、今後の入試の在り方を検討するうえで、重要な意味をもつと位置付けている。(因みに上智大学の吉田研作教授が28年度の戦略会議の座長を務めている。)
1年ほどまえ、都の担当者に「英語の授業は英語で行うことを基本とする」(現行の高等学校指導要領)という方針の現況を訊ねたことがあるが、その時点では集計中との返事だった。今回の「英語教育実施状況調査(高校)」によると、「コミュニケーション英語Ⅰ」の授業で、「発話をおおむね英語で行っている(75%以上)」と回答した教員の割合は16.4%、「発話の半分以上を英語で行っている」の割合は36.8%という。また、国の「第2期教育振興基本計画」(2013年)では、英語科教員に求められている英語力の目標を、CEFR B2(英検準1級、TOEFL iBT 80)以上相当の力であるとしているが、都の高校教員の68.7%(全国57.3%)、中学教員の45.2%(全国30.2%)が英検準1級以上相当であるとしている。私学の状況は不明。高校生の到達目標は英検準2級~2級(ミニマムレベル)準1級(ハイレベル)としている。確かに、日ごろから教員自身が英語力の自己研鑽に努めることは当たり前であるが、教師の資質はこれにとどまらないことも考えておく必要がある。教師の素養や教え方の技量も重要な要件となる。
● 国際バカロレア ディプロマ・プログラム認定校の都立国際高校の授業参観(詳細は、都立国際高校のホームページで)国際バカロレアは、国際的に認められる大学入学資格を与える国際教育プログラムで、当校は海外の大学進学が前提だ。都立国際高校は全国の公立高校で初の国際バカロレア、ディプロマ・プログラムの認定を受けており、いよいよ来春、新高1生を迎え全学年が出そろう。どの程度の進学実績を上げるのか注目されるところだ。どのような授業を行っているのか、その実態を3時間ほど参観させていただいた。
在籍数は高1が21名(内外国籍が4名)、高2が19名(内外国籍が5名)。日本国籍の生徒も、多くの生徒が外国での生活を経験している。国語や日本史などを除き英語で授業を行う、いわゆるイマージョン教育である。教師は21名で、内外国人は9名。施設も含め至れり尽くせりの学習環境に恵まれている。生徒たちは9月に完成した新校舎で国際バカロレア機構の規定に応じた化学室・物理室・生物室を使い、個別に支給されたパソコンでさまざまな情報を随時活用できる。
当日は3時限目の国語総合(高1、7名)と4時限目のEnglish AとB(高2、5名)を参観した。少人数のグループ指導だが、もっとアクティブラーニングの要素を取り入れられるかなと思う。