茗渓予備校通信KIRI

2017年 11月号

茗渓予備校の数学・理科の指導法

先月号に引き続き、茗渓予備校の指導の実際を数学・理科教科を例にご説明します。担当する全スタッフの指導スタイルと考えていただいて構いません。いまはやりのアクティブラーニングの手法は、茗渓予備校創立当時から脈々と受け継がれている思いがします。促成ではなく熟成、塾・予備校を超えた「茗渓」の指導形態です。(高木代表)



1998年の学校教育法改正以降、中高一貫校の学習指導が本格始動して、今年は丁度20年目の節目の年となります。開校以来、茗渓予備校では数多くの中高一貫校生が学んできました。今回は「茗渓」の数学・理科の指導法について、ご紹介いたします。

中1~高1生


数学に限らず、中高一貫校に進学し、6年間学習を進めていくことは、将来の大学受験(一般入試・推薦AO入試問わず)を迎えるにあたり、(環境・友人・教材など様々な面で)極めて優位であることに間違いはありませんが、その優位さが故に仇となる「諸刃」の面も持ち合わせていることにも注意しなければなりません。

中高一貫校の生徒には、高校入試が課されない分、学習カリキュラムが早めに設定されています。所謂「高校受験組」に比べて、先の内容を学習できることは、それを十分に理解・習得できる能力のある層の生徒にとっては極めて優位に働きますが、苦手な層の生徒には逆効果になる危険性も孕んでいるのです。特に数学は「積み重ねの学問」と言われていて、一度躓くと、それより先の内容の理解が困難となってしまいます。

中高一貫校に進学できた生徒ゆえ、それなりの賢さは皆持っています。ある程度の説明で「分かって」しまう生徒もいますが、「分かる」と実際に「出来る」のには、大きな乖離があるのです。実際に多くの問題に接し、演習をしてみると、分かっているつもりでも、意外と出来ていないことに気付いたり、分からなかったことが出来るようになったりするのです。

茗渓予備校では、各中高一貫校のカリキュラム・教材・傾向に熟知した講師が、各生徒さんの能力・現状に合わせて、「躓き」のない充実した中高一貫6年間の学習が円滑に送れるよう、全面的にサポート・指導しています。

高2~高3・受験生


茗渓予備校の受験指導は「授業」ではありません。その殆どが「演習」に充てられています。ただし「演習」と言っても、単に生徒に解かせて、最後に答合せをする形式ではありません。演習中、生徒さんが解答欄に書く数式をリアルタイムに観察しています。「生徒さんと一緒に解く」と言った方がイメージし易いかも知れません。従って講師側が一方的に答えを提示することはありません。生徒さんが躓いている箇所を見つけたら、その周辺の類題や考え方・解決策のみを説明し、90%は自力で解かせるように心掛けています。ときどき想定外の解き方(正しいけれど効率的ではない解法)をする生徒もいますが、正しい限りは敢えて見守ることもあります。正解が出た後、効率の良い(または見通しのよい)解き方を説明することで、より一層の理解が図れます。(しばしば、問題集の解説本などには、その編集の都合上、最も効率の良い解き方のみが書かれていて、それが却って不自然に映り、そこで学習が止まってしまうことがあります。)生徒が最も正しいと思った(地面〔生徒側〕から伸びた)道筋と、理想的な(天から降りる)道筋が1本に結びつくことで、揺るぎない本当の理解力が形成されるのです。

そして訓練された生徒になるとしばしば「○○の問題を演習したい」とリクエストしてくれるようになります。その場合、講師側が当該の問題そのものを提供することもありますが、敢えて複数の問題を提供し、その中から難易度を生徒側に選別させて演習させたり、自学自習用として書籍類を紹介したりすることもあります。

決して受身ではない、能動的(アクティブ)な学習が茗渓の受験指導の特長のひとつです。(文責:目時)