茗渓予備校通信KIRI
(中入試と高入試後編では大学入試を扱う予定)
恒例になっている、受験通による情報交換を今年も行いました。興味をそそる話題をすこしだけお話ししておきます。
●2017年度中学入試
児童数が減少している中でも、中学受験者数は少しずつ増加しています。昨年がサンデーショック(プロテスタント校を中心に有名女子中学が日曜日の入試を避けて日程を移動することで併願パターンが大きく変動する現象)で、今年はその戻りの年でもあり比較的安定した入試でした。
そんな中でこんな話を聞きました。Aさん(教育研究所主宰)は、毎年中入試の折には、保護者の控室へ出向かれるそうです。もちろん学校側の了承をとっての話ですが。自身、受験の熱気・緊張感をともに味わいたいという思いがあってのことですが、保護者の着衣の色の違いとか、茶髪の親の数とか、学校のランクによって歴然とした差があるそうです。学校側は学校側で、プロ的な対応をするグループとまるで素人のような学校に分かれるそうです。
別の中入試のベテラン編集者は、20年程前と比べると面接を実施する学校はかなり少なくなっているといいます。今は、3大模試(四谷大塚・日能研・首都圏模試)による偏差値が目安となり、学校の序列化が進んでいますが、ある意味学校選びが楽になった反面、家庭の考え方や本人の性格に合わない「ミスマッチの入学生」も増えているようです。私ども茗渓予備校は中入試を終えた生徒さんを教えていますが、そんな面でのご相談を時として受けることがあります。
また、過去問を販売している大手の営業マンの話では、最近入試ぎりぎりまで過去問題集を買わない傾向が顕著だといっていました。中入試の熱が冷めかけているのではという話です。ある大手塾の室長は「中学入試をした方がいいのは中堅の子。首都模試50以下の子が公立に行ったら、まずMARCHは難しい」と言っています。
●2017年度高校入試
3月中旬の集まりの時点では、まだ十分なデータが出揃っていませんでしたが、都内私立高校の授業料無償化はどう影響するかという話題に盛り上がりました。
茗渓予備校の「お役立ち情報」でも取り上げてありますが、東京都は、世帯年収760万未満の都内の私立高校生に対する都独自の給付型奨学金を拡充し、授業料を実質無料化する方針を決めました。都内の私立高校の平均授業料に見合う約44万円が、国の就学支援金と今回の都の給付で賄われることになります。今年の中入試や高入試ではあまり影響は出ていないが、来年あたりから中堅の私立校でその影響が顕著に出てくるのではないかという観測が多かった。今回の集まりには私学の先生方も数多く参加されており、司会者がこの問題をどう処理するのか個別に聞いていました。
とある有名都立高校の生徒の半数近くがすでに無償に近い形で就学しているとの報告もありました。東京大学へ通う生徒の保護者の年収の高さを思うにつけ、教育への機会均等とは一体何なのか、いろいろ考えさせられる1日でした。