茗渓予備校通信KIRI

2017年 7月号

今春の大学入試情報分析

 河合塾ではこの6月に本年度1回目の入試情報分析報告会が全国の高校教師を対象に実施されました。45万人以上の受験生の入試結果を調査したデータです。ごく簡単にその内容を報告しておきます。
  • 大学志願者数は微増:18歳人口119.8万人に対し67.6%が志望、とくに都市部での志願者増が顕著。※今後18歳人口は毎年漸減する。
  • 入試の変化:多面的評価への動き(面接・ディスカッション増、国立大AO入試増の動き、英語外部試験の利用が拡大)。
  • 大学の動き:国立大⋯学部再編、教育学部の縮小、定員は文系が縮小し理系が拡大、新学部の設置。私立大⋯文科省の定員超過抑制の動き⇒合格数の抑制、一部大学の定員増。

注目すべき傾向


国立大:過去2年文高理低が続いていたが、今春は文系・理系内で差が見られた。文系では「文・人文」「社会・国際」の志願者が前年並みにとどまる一方、「法・政治」「経済・経営・商」は志願者が増加した。理系では「工」が志願者増、「理」「農」で減少した。

国立難関大の推薦・AO入試:
  • 東大(昨年と同数の173名の志願者があったが、合格者は77名から71名に減少。法・教育・理学部は2か年ともほぼ応募人員を満たすが、経済・文・教養・薬学部は大幅に減少)。
  • 京大(農学部が全学科実施、医・工学部の募集人員増< 108人→ 145人>に伴い、合格者数が増加< 82→120>。茗渓予備校からも1名合格しているが、今年度も合格者数は募集人員を下回る。
私立大志願者数は2007年度以降増加しているが、受験料割引制度の拡大などで一人当たりの出願数が増えているため。今春は、文科省の指導などもあり合格者数を絞り込む動き(水増し率を抑える)があり、厳しい入試となった。

文系は全系統で志願者が増加、理系は系統により異なる。ただし、文系は合格者数が絞り込まれたため倍率が上昇している。理系では「理」学系で志願者が減少し、「工」「農」学系で増加した。医療系では「医」「看護」で学部新設の影響もあり、志願者が増加した。合格者数は文系各系統ほど絞り込まれていない。

「早慶上理」「MARCH」「日東駒専」など多くのグループ別で志願者増・合格者減となており、厳しい入試となった。

・個別の大学で見ると、6大学(近畿、法政、早稲田、明治、日本、東洋)で志願者数が10万人を超えた。

☆2018年度の入試展望
  • 大学志願者数は微減/18歳人口減(約2万人)に伴い現役は減少。
  • センター試験は過去最速実施日(1月13・14日)。
  • 後期日程の廃止/一橋大(法、社会)、九州大(理‐数、歯)等。
  • 英語外部試験の利用の拡大/千葉大(教育中学英語など)、早稲田(国際教養)など。

※なお、6月末日までに決定されるはずだった「大学入試共通テスト(仮称)」の決定は延びています(7月3日文科省に電話で確認)。各部局との調整に手間取っている様子です。