茗渓予備校通信KIRI
2017年 8月号
共通テスト(センター後継)はマイナーチェンジか?
「大学入試共通テスト」の実施方針が7月10日にようやくまとまりました。その主な変更点をいくつか報告します。
1.択一問題のみ(現行センター試験)→記述問題の導入
- 入試センターが作問・出題・採点する。ただし、採点には「民間事業者」を活用する。
- 国語は80~120字程度の問題を含め3問程度。数学は数式・問題解決の方略を問う問題3問程度。
- 平成36年度から地歴・公民分野や理科分野等でも記述式を導入する方向で検討。
※国語に関して、モデル例を見てみると、とても大学入試の問題レベルとは言えない。あえて言えば、公立の中高一貫校の中入試で出題されている適性テスト並み。(数学は、現行のセンター試験でも十分思考力をテストできている内容だという。)50万人を越す受験者に記述の問題形式は不可能だ。2次試験で本物の記述問題を課すべき。
2.英語「読む・聞く」のみ→4技能評価へ転換
- 英語の外部資格・検定試験を活用し、4技能を評価
- センターが試験の内容と実施体制を評価し、入学者選抜に適した試験を認定。各大学の判断で活用(高3の4月~12月に受けた結果を2回まで使える)
- 共通テストの英語試験(現行)は、認定試験の実施・活用状況を検証しつつ、平成35年度までは継続して実施する。各大学の判断で共通テストと認定試験のいずれか、または双方を選択利用することが可能。
※共通テストとして英語試験の継続実施を強く要望する意見(全国高等学校長協会)や、認定試験の実施・活用状況を検証したうえで共通テストの英語など外国語を廃止するかどうかを判断すべきという意見(国立大学協会)、導入時期を含め慎重な検討を促す意見(都道府県教育長会議)などに文科省が配慮した結果である。 - 各試験団体に、受験料の負担軽減方策を講じることを求めるとともに、各大学に、受検者の負担に配慮して、できるだけ多くの種類の認定試験の活用を求める。
※受験料の問題や受験機会を考えると、地域格差や保護者の収入格差の問題を抜きには考えられない。センターの中枢におられた方の話では、50万人規模の現行のセンター試験を前提に今回の改定を行った場合、独立法人格のセンターとしては、どうしてもセンター試験自体の受験料をかなり値上げせざるを得ないといわれている。いままであまり議論されてこなかったが、これは社会的国民的問題である。 - CEFR(ヨーロッパ共通参照枠)と主な資格・検定試験との関連成績表示は各認定試験のほか、CEFRに対応した段階別評価(6段階)を 各大学に提供していく。
3.学力の3要素を無視→新たなルールの設定
※AO入試や推薦入試においても、共通テストなどの何らかの能力試験を課すというもの。
注)詳しい内容(全70p)は文科省のホームページから取り出すことができます。