茗渓予備校通信KIRI

2018年 7月号

共通テスト(2020年度施行)はどこまで来ているか

先月号では「センター新テスト(共通テスト)の進捗状況」ということで、どこまで具体的になっているかテスト内容を中心に見てきましたが、先月6月18日に入試センターから共通テスト作成の方向性が高校教員をはじめ関係者にかなり具体的に示されました。(詳細は入試センターのHPを参照ください。)主要な問題点だけを拾ってみます。

①共通テストの枠組みにおける英語の資格・検定試験の活用との関係(18日文書の2-3)

ここで文科省は、共通テストと民間の資格・検定試験の「いずれか又は双方を利用できる」としています。一方、国立大学協会はその両方を受験生に必須で課すとし、しかも当初民間試験の配点割合を英語総得点の「1割以下」としていたのが、「2割以上」に変更しました。この間の経緯は定かではありません。

共通テストは、リーディング(80分)もリスニング(60分で解答時間30分)もともにCEFR基準でA1からB1までの問題を組み合わせて出題し、従来の発音やアクセントの問題ははずす方針です。今年の11月に行われる最終の試行試験においては、リーディングとリスニングの配点を均等として実施する予定です。外国語学習にとって一番重要で一番難しいのがリスニングだと考えています。教育現場ではスピーキング以上に聞き取る力の養成に力を入れるべきです。センターに設けられる「大学入試英語成績提供システム」を通じて成績提供する範囲もA1からC2の幅広い範囲が想定されており、結局CEFR基準でB2以上の技能を求める難関大学がでてくるのは当然で、受験生の英語格差はますます広がるでしょう。絶対、不得意教科にはできません。むしろ得点源にする必要性が高まってきます。

東大は当初、民間試験は(合否判定に)使わない可能性があると言っていた(入試担当の福田副学長)のが、その後、入試での活用方法について検討すると、軌道修正しています。ほかの国立大学に強い影響力を持つ大学だけに文科省の圧力があったのでしょうか。学内でも賛否両論があっていまだに決着がついていない。

②記述問題に関して(18日文書の3)

国語の記述問題は、20~30字程度、40~50字程度、80~120字程度の3問が出題されます。マーク式問題の配点とは別に、記述式問題の段階別評価が示されます。段階の数については、小問ごとに4段階表示、総合評価については80~120字程度を記述する小問についてのみ1.5倍の重み付けを行った上で5段階表示とすることが検討されています。段階をどうやって重み付けするのか、いまひとつ分かりにくい。

数学Ⅰでも記述式の問題が出題されますが、こちらは段階別評価は行われず、すべて配点が行われます。

正直、国語の記述式問題は大学の入試問題というより初等中等教育レベルの入試問題に近い感じがします。事実、今回の試行試験は国立教育政策研究所(国研)の関係者主導ではないかともうわさされています。記述式問題の採点は、民間事業者に採点作業を委託しながらセンターで行いますと明記されています。

※なお、①②に関し、東大の高大接続研究開発センター長南風原朝和氏と(独法)大学入試センター理事長山本廣基氏のやり取りがあります。茗渓予備校の「教育ニュース」を参照ください。