茗渓予備校通信KIRI

2019年 5月号

大学入学共通テストの注意点

令和(Beautiful Harmony)元年の長い連休いかがでしたか。5月病にかからないように、早めに日ごろのペースに戻しましょう。

茗渓予備校では、5月の12日には調布校舎で、19日には吉祥寺校舎で「春の大学入試セミナー」を実施します。「大学入学共通テスト」はいよいよ2021年1月から実施されます。現高3生は浪人はなんとしても避けたいところです。現高2生以下は、共通テストの狙いと実態をしっかり理解しておきましょう。昨年末11月に実施された第2回目の試行テストの結果が4月4日に発表され、これが最後の施行テストになります。文科省は当初、必要があれば3回目の試行調査を今年行う予定でしたが、今回の試行調査を最後に、本番の作問に集中したいとして実施しないことにしました。現行のセンター試験も毎年2年がかりで作問を行ってきました。

ここで簡単に課題となっていた点や注意点を報告しておきます。

英語の民間試験の成績活用の流れ

「英語成績データ確認システム」(仮称) 受験生⇔センター

20年度に民間試験を受験する可能性のある高校2年生らが高校を通じて今年の11月頃にセンターに共通IDを申し込む。今年の末か来年初頭にセンターから2年生らにIDを発行。受験生は来年の4月以降民間の英語試験の受験が可能になる。IDを登録して4月から12月の間に2回分まで受験できる。ただし、9月から始まる「総合型選抜」(現在のAO入試)や、11月から始まる「学校推薦型選抜」(現在の推薦入試)で成績を活用してもらう場合は、早めに受験する必要がある。詳細は、大学入試センターHP、文部科学省HP,民間の英語4技能試験情報サイトを参照のこと。

各大学の英語民間試験の活用法

国立大学の場合:今年の1月末時点で、旧帝大を含む17大学は一定の英語の能力(ほとんどがCEFRでA2以上)を「出願資格」としているが、その場合も必ずしも民間試験に拠らないこともある。一方、地方国立大学を中心に29大学は民間試験の成績を点数に換算し、大学入試センターが行う試験の成績に加算すると決めた。出願資格にすると「門前払い」される受験者が出てしまうためだ。例えば、佐賀大学の場合、入試担当者は「出願資格では、CEFRでA1ではほとんどの受験生が通過してしまい、A2だと出願できない受験生が続出する可能性がある」と語っている。

私立大学の場合:先月の本紙でも報告したように、個々の大学の発表をしっかり調べる必要がある。

国語の記述式問題について

 解答の条件などを分かりやすくしたので完全回答率はアップしたが、自己採点の結果は、前回と比べ3割に悪化している。文科省から出向していたセンターの大杉前審議役は「自己採点自体が国語の思考力・判断力が必要な作業のため、自己採点を完全に一致させるのは難しい」と無責任な発言をしている。埼玉県立川越女子高の教諭は、「一致率は9割程度になるようにしてほしい」と要求し、また、第1段階選抜を実施するある国立大の入試担当者は、「このままの不一致率では困る。安全志向が強まり、ランクを下げて出願する受験生が増えてしまう」と不安を隠さない。

☆今回の茗渓予備校の「春の大学入試セミナー」で、『思考力問題の研究―共通テスト対策編』(旺文社)の国語編執筆者の大川先生が解説します。

数学の記述式問題について

今回も正答率は、記述の第1問は5.8%、第2問は10.9%、第3問は3.4%で前回とあまり変わらない。ただし、自己採点との不一致率は、教科の特性から国語ほどひどくはない。

一言

  • いままでの課題はあまり改善されないまま見切り発車し、本番に突入しそうです。
  • 日本人の英語力が劣る最大の理由は、他のアジア諸国では英語力が高所得につながる度合いが強いが、日本は国内市場依存度が高く日本語だけで就職できます。ただし、縮小していく国内市場だけに依存する状況はそう長くは続かないことも事実でしょう。