茗渓予備校通信KIRI

2019年 7月号

「第2回大学入学共通テストへ向けた試行試験」を解く(英語リスニング編)

先月号に引き続き、今回は第2回共通テストの試行試験のうち英語・リスニング編を取り上げてみます。

最初に注意しておかなければならないことは、リーディングもリスニングも共に100点という配点になっていることです。センターの方針は以下のように決定しています。もう問題作成の段階に入っているはずです。※は筆者注

○B1レベル(※CEFRの6段階基準のこと)程度の問題が配置された第4問、第5問、第6問を1回読みとした。(※第1問から第3問の15題は2回読み)…2020年度からは試行調査と同様、1回読みと2回読みが混在する問題として実施する。

※因みに、B1レベルとは、「仕事、学校、娯楽で普段出会うような身近な話題について、明瞭で標準的な話し方の会話なら要点を理解することができる。話し方が比較的ゆっくり、はっきりしているなら、時事問題や、個人的もしくは仕事上の話題についても、ラジオやテレビ番組の要点を理解することができる。」とあります。B2は「たいていのテレビのニュースや時事問題の番組もわかる。標準語が使われていれば、大多数の映画を理解できる。」とあります。

配点(リーディング問題も含め)に関しては、

○英語教育改革の方向性の中で各技能(※4技能のこと)の能力をバランスよく把握することが求められていることや、多くの英語の資格・検定試験で各技能の配点が均等となっている状況を踏まえ、「筆記(リーディング)」と「リスニング」の配点を均等として実施、検証を行った。その際、センター試験と比べ、「リスニング」の設問数を増やして実施した。(※リスニングは各設問の配点もほぼおなじで3点から4点。リーディングは第6問はすべて3点になっています。現高2生には、この2回分の試行試験をぜひ解いてもらいたい。)

○…共通テストでは配点を均等にして実施し、重み付け等は活用する大学に委ねることとする。(※つまり、傾斜配点は各大学に任せると読み取れます。)

リスニング問題:30分、大問6問、設問数37題(100点)

大問1 A 短文を聞き取り、最も近い意味の英語を選ぶ。4題12点。

    B 短文を聞き取り、最も近い意味の絵を選ぶ。3題12点。

大問2 男性と女性の簡単な会話と問いを聞き、答え(図)を選ぶ。4題12点。

    場面は日本語で説明されている。ただし、問いは英文を聞き取る方式。

大問3 大問2と同じ。ただし、4択の英語から選ぶ。4題16点。

    ※ここまでは、2回流し これ以降は1回流し(CEFR B1レベル)

大問4 A 話を聞き、その内容を表したイラストの絵を順番に並べる。8題8点。

    ツアーの料金に関する話を聞き、表を埋める。8題8点。

    B 寮選びに当たり4人の説明を聞き、条件に合ったものを選ぶ。1題4点。

大問5 大学教授の講義を聞き、ワークシートの空所を埋める。9題20点。

    ※大問5,6には、全部正解の場合のみ点が与えられる設問あり

大問6 A 二人の大学生のvideo gamesの対話を聞いて答える。2題8点。

    B 大学教授のvideo gamesに関する講義を聞いた後の質疑応答。問題2題8点。

    司会者と2人の発言者を交えた会話が続く。ゲームに反対する発言者を選ぶ問題と教授の意見を支持する図を選ばせる。

第2回目の試行試験は、昨年の11月に高3生中心に実施されました。リスニングの受検者は約1万3千人(リーディングもほぼ同人数)で、リスニングの平均が59.09点、リーディングが56.37点でした。センターとしては正答率を5割に設定しており、受験生の識別(学力判定)も十分できていると判断していますから、この形が本番でも踏襲されるものと予測されます。

では、このような問題に対してどのように対処していけばいいのでしょうか。平均点が低いのは、大問4の設問2、大問5、大問6のAの設問1、Bなどでした。英語以前の問題として、大問5に見られるようなAIと将来の職業選択のことなどは、日ごろから関心を持ってもらいたい。必要な情報を把握し、それらの情報を統合して要点を整理し判断する力が試されています。思考力が試されていると言えば言えますが、むしろ情報処理能力と言った方が正確ではないでしょうか。

日ごろから、音声を重視した英語学習にも留意していただきたい。教材はあふれるほどありますが、学校で使用している基本教材を軸に据え、音源(CDなど)を繰り返し聞き取る能力(聴解力)を鍛えていくことです。英検やNHKの語学教材を利用する手もあります。具体的には、茗渓予備校の優秀な英語講師に相談してみてください。