2015年度東京大学(理系)第6問
𝒏
を正の整数とする。以下の問いに答えよ。
-
関数
𝒈(𝒙)
を次のように定める。
𝒇(𝐱)
を連続な関数とし、𝒑
、𝒒
を実数とする。
をみたす𝒙に対して𝒑≦𝒇(𝒙)≦𝒒
が成り立つとき、次の不等式を示せ。
-
関数
𝒉(𝒙)
を次のように定める。
このとき、次の極限を求めよ。
まず関数
の係数が不自然なことに気が付くことが第一歩である。なぜ負号がつくのか。そして何故
部分積分を実行する。
次に
で
ここで(1)を使おう。(1)の
を適用する。
における最小値・最大値を選べばよい。
すなわち
はさみうちの原理より
以上が通常の試験で解答すべき記述である。
さて超関数の理論を使って、解答を予想してみよう。前回説明したように
であった。Diracの
(2)で登場する関数
さらに合成関数の微分を考慮すれば
両辺
である。微分と極限の順序入れ替えとか細かい話を省略すれば
である。この式が核である。
さて問題の
の積分区間
さて積分と極限の順序入れ替えとか細かい話を省略すれば
上記(*)の式から
部分積分を実行する
第1項目に関して、
の
Diracの
を持っていたが、その導関数
を持つのである。一般に
が成り立つ。
以上のように、本問の(2)の解答の値は
の係数が不自然なことに気が付くことが第一歩である。なぜ負号がつくのか。そして何故
π/2
なのか。前半(1)の𝒈(𝒙)
の導関数になっていることに気付けば勝負あり。まず関数の台を削る。𝒈(𝒏𝒙)
を𝒙
で微分すると𝒏𝒉(𝒏𝒙)
になるので部分積分を実行する。
次に
で
𝒈(𝒏𝒙)=0
であることからここで(1)を使おう。(1)の
𝒇(𝒙)
としてを適用する。
𝒑
、𝒒
は単調増加関数𝒇(𝒙)
のにおける最小値・最大値を選べばよい。
すなわち
𝒏→∞
の極限をとってはさみうちの原理より
以上が通常の試験で解答すべき記述である。
さて超関数の理論を使って、解答を予想してみよう。前回説明したように
であった。Diracの
δ
関数は次の特徴を持つのであった:(2)で登場する関数
𝒉(𝒙)
は𝒈(𝒙)
の導関数なのでさらに合成関数の微分を考慮すれば
両辺
𝒏
倍してである。微分と極限の順序入れ替えとか細かい話を省略すれば
である。この式が核である。
さて問題の
の積分区間
[−1, 1]
には特に意味はなかった。[−2, 2]
でもよいし、[−100, 200]
でもよい。面倒なので(−∞, ∞)
にしておこう:さて積分と極限の順序入れ替えとか細かい話を省略すれば
上記(*)の式から
部分積分を実行する
第1項目に関して、
𝒙→±∞
では、余裕でδ(𝒙)
は0
である。また第2項目に関しては、δ
関数は特徴を表す式を用いよう。すなわち関数の
𝒙=0
での値になるのである:Diracの
δ
関数は次の特徴:を持っていたが、その導関数
δ′(𝒙)
は次の特徴:を持つのである。一般に
𝒏
階微分可能な関数に対してが成り立つ。
以上のように、本問の(2)の解答の値は
𝑭(𝒙)=𝒍𝒐𝒈(1+𝒆𝒙+1)
に対する−𝑭′(0)
の値になると事前に予想できる。もちろん実際の入試では、先に示した高校数学の手法て解かなければならない。