2020年度早稲田大学政治経済学部入試数学第3問
性能の相異なるジュース製造機が全部で
性能の相異なるジュース製造機が全部で
𝑛台ある。1台目を使って𝑥𝐋(リットル)のジュースを製造すると𝑥2円の費用が掛かり,2台目を使って𝑥𝐋ジュースを製造すると2𝑥2円の費用が掛かる。
以下,同様にして,𝑘台目の製造機を使って𝑥𝐋のジュースを製造すると2𝑘-1𝑥2の費用が掛かる(𝑘=2, 3, ..., 𝑛)。以下の空欄 (あ) 〜 (か) に当てはまる数または数式を求めよ。答のみ解答欄に記入せよ。- 1台目と2台目の製造機のみを使って合計
𝑥𝐋のジュースを製造するとき,必要となる費用の最小額を計算したい。1台目を使って𝑡𝐋 (0≤𝑡≤𝑥)のジュースを製造し,2台目を使って残りの(𝑥−𝑡𝐋)のジュースを製造するとき,必要となる費用の総額を𝑡を含む式として表せば (あ) 円となる。この値が最小になるように𝑡の値を選べば,その結果として,費用の総額の最小値は (い) 円となる。 - 1台目,2台目,3台目の製造機を使って合計
𝑥𝐋のジュースを製造する。1台目と2台目を使って合計𝑡𝐋 (0≤𝑡≤𝑥)のジュースを製造し,3台目を使って残りの(𝑥−𝑡)𝐋のジュースを製造するとき,必要となる費用の総額の最小値をtを含む式として表せば (う) 円となる。この値が最小になるように𝑡の値を選べば,その結果として,費用の総額の最小値は (え) 円となる。 - 1台目から
𝑘台目までの製造機を使って合計𝑥𝐋のジュースを製造するときに必要な費用の総額の最小値が𝑎𝑘𝑥2円に等しいとき,𝑎𝑘と𝑎𝑘−1のあいだには (お) という関係がある。これを利用すれば,𝑛台すべての製造機を使って合計𝑥𝐋のジュースを製造するときに必要な費用の総額の最小値が (か) 円となることが分かる。
まず目につくのが文章量。
数学の問題は国語や英語に比べて文章量(文字数)が少ないのが一般的であるが、本問においては丸々1ページ使っての出題。
所謂「数学の長文問題」である。
2020年度のセンター試験→共通テストへの変更により、数学も(問題設定が複雑な)長文問題が多くなっている。
今後もこの傾向は顕著になっていくのだろう。
数学にも読解力が必要になるのである。
さて、問題の内容は、政治経済学部らしく?ジュースの製造量と費用(コスト)の問題。 複数のジュースの製造機があって、1台目・2台目...となるに従って、製造コストも上がっていく。 そんな状況で、費用(コスト)を最小にする最適解を求める問題である。
「1台目が安いんなら、全部1台目で作ったらいいんじゃない?」と一瞬思うが、 製造量
以下、略解。
(1)1台目で

となるので、

のとき最小値

円...(い)。
(2) 1・2台目で

円...(う)。これを平方完成すると

円...(え)。
(3)

円。これは

のとき、最小値

円をとる。これが

...(お)。両辺の逆数をとった

から一般項を求めると

...(か)。
解き終えた後の考察も大切。(1)では「コストの比
実際

2台目に

...

を製造させたときの費用は

となって、(お)を経ずして、(か)が求められる。
さて、問題の内容は、政治経済学部らしく?ジュースの製造量と費用(コスト)の問題。 複数のジュースの製造機があって、1台目・2台目...となるに従って、製造コストも上がっていく。 そんな状況で、費用(コスト)を最小にする最適解を求める問題である。
「1台目が安いんなら、全部1台目で作ったらいいんじゃない?」と一瞬思うが、 製造量
𝑥𝐋(リットル)に対して、
コストが𝑥2円になるのがネックである。
「作れば作るほどコストが嵩む」状況なのである。
例えば「製造量を1𝐋だけ増やしたい!」とは言っても、
1𝐋から2𝐋へ増やした場合、
コストの増加量は22-12=3円で済むが、
100𝐋から101𝐋へ1𝐋だけ増やした場合、
コストの増加量は1012-1002=201円にもなってしまう。
「こんなことなら、少々高くても2台目を使った方がまし!」と云う訳である。以下、略解。
(1)1台目で
𝑡𝐋、2台目で(𝑥−𝑡)𝐋のジュースを製造するので、
費用は𝑡2+2(𝑥-𝑡)2円...(あ)。𝑡の2次関数として平方完成すると
となるので、

のとき最小値

円...(い)。
(2) 1・2台目で
𝑡𝐋、3台目で(𝑥−𝑡)𝐋のジュースを製造するので、
(少なくとも1・2台目の間では最小になるように設定した)費用は
円...(う)。これを平方完成すると

円...(え)。
(3)
1〜(𝑘-1)台目で既に𝑡𝐋を製造するときの最小値は𝑎𝑘−1𝑡2円であることが分かっているときに、残りの𝑘台目で(𝑥−𝑡)𝐋のジュースを製造する費用は
円。これは

のとき、最小値

円をとる。これが
𝑎𝑘𝑥2に等しいので
...(お)。両辺の逆数をとった

から一般項を求めると

...(か)。
解き終えた後の考察も大切。(1)では「コストの比
1:2の1〜2台で作るなら製造量を2:1にすればよい」と言っている。(2)では「コストの比1:2:4の1〜3台で作るなら製造量を4:2:1にすればよい」と言っている。「安い機械にはたくさん作らせ、高い機械には少しだけ作らせる」のである。つまり(3)は「1〜𝑘台で製造量を2𝑘-1:...:2:1にした」ときの答えである。実際
𝑥𝐋を1+2+4+...+2𝑘-1=2𝑘-1等分して、1台目に
2台目に

...
𝑘台目に
を製造させたときの費用は

となって、(お)を経ずして、(か)が求められる。
