文法・読解に偏重しがちだった旧来の英語教育を改めて、より実用的な英語コミュニケーション能力を育成するべく「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能をバランス良く身につけようとする方針が文科省の学習指導要領において押し出されるようになって既に久しいですが、近年ではそれが大学入試制度改革や小学校の英語授業などにおいても少しずつ具体的に反映されるようになってきています......
the rich
で「お金持ち...」という意味になることは、受験生諸君はご存じだろう。これを「the rich (people)
の省略である」と教える先生もいる。無論これは間違いだ。the rich people
では「そのお金持ちの人々」となってしまう。the rich=rich people
で「(一般に)お金持ちの人々というものは...」という意味だ。確かにthe
は「冠詞」である。冠詞は分類学上は「形容詞」なのだから、後ろに「名詞」を補いたくなる心理はわからないでもない。しかしちょっと考えれば「あれ?」と中学生でも疑問に思うはずだ。いろいろ検索してみたが、「何故そうなるのか?」を説明しているものは皆無だ。故にここからは「鈴木説」として話半分に聞き流してもらいたい。ただしこの説だとthat
とthe
のすべての謎が解けるのだ。まず念のため確認しておくと、英語ではthe
を定冠詞、a/an
を不定冠詞と呼んでいる......
まずは例文を見て欲しい。お馴染みの「書き換え」例文だ。
では「この前半部分の倒置は何なのか?」という問題になる。ある大手予備校のサイトを参照すると、「前半部分は、もとは疑問文だった!」という謎解きがなされていた......
If it were not for water, we would all die.
=Were it not for water, we would all die.
if
が省略され倒置が起こった云々...」と説明されているがこれは「嘘」。全く別の表現を、「ほぼ同じ意味だから...」とイコールで結んでしまっただけだ。教える手順としてはOKなのだが、これだと「if
を省略したら倒置にできる!」との誤解を子供たちに与えてしまう。実際英作文で早速これを乱用(?)して「×」をもらった生徒も過去にいた。故にあくまで「これは嘘なんだけどね...」と断りを入れ、「ある表現だけにしか使ってはいけないんだよ...」と付記すべきであろう。使用可能な文はHad+pp ~
.などの「仮定法過去完了」や、Were I you, ~
などの「be動詞の仮定法過去」またShould he come ~
「もし万が一...なら」など2~3例にとどまる。If I knew her address, ~
「もし~を知っていれば...」をDid I know her address, ~
とやってはならない(昔はOKだった...という説もあるが...)。では「この前半部分の倒置は何なのか?」という問題になる。ある大手予備校のサイトを参照すると、「前半部分は、もとは疑問文だった!」という謎解きがなされていた......
「仮定法未来」という信じられないネーミング
「
If S should V
(もし万が一〜したら...)」や「If S were to V
(もし仮に〜したら...)」など、「未来の可能性が低い仮定」をこう呼ぶ方がいる。仮定法が何もわかっていない。恥ずかしいことだ。「仮定法未来」など存在しない。するはずもない。無論ラテン語にもギリシャ語にも、そんなものはない......