森上教育研究所 森上展安先生(2007年4月折込掲載)
中高一貫校生の持つ「憧れ」
中高一貫校に入学して最も気をつけたいことは青々とした憧れをもつことである。
その第一は教科への憧れであるべきで自然に気持ちが動くのは異邦の言葉、英語だろう。なるべくよい音楽を聞くように美しい発音に耳を澄ますとよい。何よりその甘く流れるような音声に魅了されるとよい。名演舌に浸るのもよい。聞けば話したくなり、うまく話せれば聞いて欲しくなる。うまく歌えれば歌いたくなる。よい言葉はくりかえし口の端にのせるとよい。又、数学の、あまりの解法の見事さ便利さ、論理性に驚くに違いない。算数では「答」が何よりの宝物だったが、数学では「解法」が何よりの宝物だ。etc・・・。
第二の憧れは、教師や先輩への憧れだ。それは該博な知識であったり、クラブでの高度なスキルだったり、ほどよい距離感だったり。家族では味あわなかった刺激がそこにある。
第三の憧れは、書物への憧れであってほしい。最初はコツをつかむまで少々つまらないかもしれない。
しかし、例えば気の利いた言い回し、酒脱な熟語などでどんなに文章が生き生きしてくるか、会話が深くなるか。
恐らく中一と中二の頃の特権はそうした知についての憧れを素直にもてて、周囲もそれを受け入れてくれるところにあると思う。それは生活のあらゆるところにあって、塾などはそれがためにあるようなものなのだ。
だから最も避けるべきは知的怠惰であり知的引きこもりである。