\( \def\df#1#2{\dfrac{#1}{#2}} \)座標空間内の原点を中心とする半径$5$ の球面を$S$ とする。
$S$ 上の相異なる$3$ 点
$P$, $Q$,$R$が次の条件を満たすように動く。
条件:$P$, $Q$は$xy$平面上にあり,三角形$PQR$の重心は$G(2,0,1)$である。
以下の問いに答えよ。
(1)線分$PQ$の中点$M$の軌跡を$xy$平面上に図示せよ。
(2)線分$PQ$が通過する範囲を$xy$平面上に図示せよ。
今年の東京大学・理科系の入試問題は、巷でも「史上最難(災難?)」と称されるほどの難しさでした。そんな中、唯一、読み物風として書けるのは本問です。
(1)ここは素直に座標を文字で置いてしまいましょう。
\[P(p,q,0),\qquad Q(r,s,0),\qquad R(a,b,c)\]
ただしこれらはすべて球面$S$上にあるので、
\[
p^2+q^2=25,\qquad r^2+s^2=25,\qquad a^2+b^2+c^2=25\cdots(\ast)
\]
の条件がつきます。
さらに三角形$PQR$ の重心が$G(2,0,1)$になるので
\[
\df{p+r+a}{3}=2,\qquad \df{q+s+b}{3}=0,\qquad \df{0+0+c}{3}=1\cdots(\ast\ast)
\]
の条件がつきます。
主役の中点$M$を$M(X,Y,0)$と置くと、
\[
\df{p+r}{2}=X,\qquad \df{q+s}{2}=Y\cdots(\ast\ast\ast)
\]
となります。
「あーあー、後先考えず、たくさん文字置いたなぁ」と反省しつつ、
文字が$p,q,r,s,a,b,c,X,Y$の$9$個。
条件の式が$3+3+2=8$式。
「$9-8=1$なので、文字消去できれば$1$次元の図形が出るでしょう?」
「ただし、上手く消せるかな?」と恐る恐る眺めれば、
条件$(\ast\ast)$の最後の式から$c=3$は確定。
さらに$(\ast\ast)$の1・2番目の式から
\[p+r=6-a,\qquad q+s=-b\]
これらは$X,Y$と相性がよく、それぞれ
\[2X=6-a,\qquad 2Y=-b\]
と表せるので、後はこれらを$a=6-2X$, $b=-2Y$と変形して、条件$(\ast)$の最後の式に代入すれば
\[
(6-2X)^2+(-2Y)^2+3^2=25 \qquad \Rightarrow \qquad (X-3)^2+Y^2=4
\]
となり、$xy$ 平面上に点$(3,0,0)$中心の半径$2$の円が出ました!
が、これはあくまで必要条件。まだ使っていない条件$(\ast)$の1・2番目の式を考慮していませんでした。
ここまで振り返ってみると
\[
\begin{aligned}
p^2+q^2 &= 25, \qquad r^2+s^2 = 25,\\
\df{p+r}{2} &= X, \qquad \df{q+s}{2} = Y,\\
(X-3)^2+Y^2 &= 4
\end{aligned}
\]
これを現代語訳すれば、つまり「原点中心半径$5$の円周上の$2$点$(p,q)$、$(r,s)$の中点$\left(\df{p+r}{2},\df{q+s}{2}\right)$で表される点$(X,Y)$のうち、方程式$(X-3)^2+Y^2=4$を満たす部分」となります。
円周上に$2$点を好き放題に選んで、その中点を想像すれば、円の内部(円周も含む)となりますが、運よく?原点中心半径$5$の円に円$(X-3)^2+Y^2=4$がギリギリ含まれているので万事OK?
しかし、ここまで「相異なる$3$ 点$P$, $Q$,$R$」だったことを忘れていました。
$R$だけは$z$座標が$3$でしたので、どう足掻いても$P$, $Q$と一致しませんが、$P$, $Q$の2人は偶然同じになる可能性があります。
この部分を修正すれば、「原点中心半径$5$の円周上の相異なる$2$点の中点で表される点$(X,Y)$のうち、方程式$(X-3)^2+Y^2=4$を満たす部分」となります。
この「相異なる」の条件を考慮すれば、原点中心半径$5$の円周だけは実現不能となりました。円の内部に限られます。
結局、
\[
(x-3)^2+y^2\leqq 4,\qquad z=0 \qquad (\mbox{ただし}(5,0,0)\mbox{を除く})
\]
(2)中学校の幾何の知識が役に立ちます。
「二等辺三角形の底辺の中点と頂点を結ぶ線分は、底辺に対して垂直に交わります」。
今、三角形$OPQ$は$OP=OQ=5$の二等辺三角形なので、中点$M$は$OM\perp PQ$を満たします。
直線$PQ$は点$M(X,Y)$を通り、$OM$に垂直な直線なので、ベクトル方程式の知識から
\[X(x-X)+Y(y-Y)=0\]
と表せます。
「方程式$(X-3)^2+Y^2=4$を満たす$(X,Y)$に対して、直線$X(x-X)+Y(y-Y)=0$が通過する範囲」を考えることになります。
見方を替えて、後者を平方完成すると
\[\left(X-\df{x}{2}\right)^2+\left(Y-\df{y}{2}\right)^2=\df{x^2+y^2}{4}\]
となり、点$\left(\df{x}{2}, \df{y}{2}\right)$中心の半径$\df{\sqrt{x^2+y^2}}{2}$の円になります。
この2式を満たす$(X,Y)$が存在する、すなわち
$XY$ 平面上で、2つの円$(X-3)^2+Y^2=4$、
$\left(X-\df{x}{2}\right)^2+\left(Y-\df{y}{2}\right)^2=\df{x^2+y^2}{4}$が共有点を持つのは中心間の距離が半径の和以下で、半径の差の絶対値以上であることが必要十分なので、
\[\left|2-\df{\sqrt{x^2+y^2}}{2}\right|\leqq \sqrt{\left(3-\df{x}{2}\right)^2+\left(0-\df{y}{2}\right)^2}\leqq 2+\df{\sqrt{x^2+y^2}}{2}\]
各辺2乗してから、$4+\df{x^2+y^2}{4}$を一斉に引くと
\[
-2\sqrt{x^2+y^2}\leqq 5-3x\leqq 2\sqrt{x^2+y^2}
\]
つまり$(5-3x)^2\leqq 4(x^2+y^2)$ですが、これを整理
すると双曲線の内側$\df{(x-3)^2}{4}-\df{y^2}{5}\leqq 1$となります。
さらに「直線$PQ$でなく線分$PQ$だったこと」と「点$(X,Y)=(5,0)$を除くこと」を考慮する必要があります。前者は円の内部(今度は円周も含む)、後者は計算すれば点$(x,y)=(5,0)$を除くことになります。当然、(2)の答えに(1)の答えが含まれる図になります。
執筆:目時先生(JUKEN3月号掲載)
