今回は大学受験生の皆さんのほとんどが受験されるセンター英語科試験についてお話します。一般に「高校卒業レベル」とされている英検2級との対比を織り交ぜながらお話しします。まずはセンター英語科試験と英検2級の問題内訳から。

センター試験

大学入試センター試験(正式名称は「大学入学者選抜大学入試センター試験」)は独立行政法人大学入試センターによって実施される日本の大学の共通入学試験です。全教科・全科目で設問の解答をマークシートに記入する方式となっていて、記述式の設問はありません。2006年には英語科のリスニング試験が新たに導入されました

有効な学習法

英検を活用した学習法は中学生・高校生にとって大きなメリットがあります。その理由は英検が受験者の能力に応じて7段階にレベル分けされているため、段階的に能力を上げる学習に適しているからです。センター試験は語彙・文法レベルにおいて英検2級で扱われる文章との共通点が多く見受けられるため、英検2級合格の力をつける学習をしながらセンター受験準備に進むこともできます。共通点を利用した学習法はたくさんありますが、今回は2つほどお話ししたいと思います。

パラグラフリーディング

受験生の皆さんは「パラグラフリーディング」という言葉をよく耳にされることと思います。一つ一つのパラグラフ(文章の節または段落)の主張をつかみ、それぞれの主張がどのような論理関係で結ばれているかを考えながら読むことを一般にパラグラフリーディングと呼んでいます。特に論文等で、1つのパラグラフの中で1つの主張とそれを支える根拠を一貫して示すことがあり、その主張が述べられている文をトピックセンテンス、主張を具体的根拠を挙げて支える文をサポートセンテンスと呼びます。このトピックセンテンスを把握して理解することで書き手が言いたいことを端的に理解することができます。英検2級で扱われる長文は、センター試験の長文同様にしっかりとしたパラグラフ構造を持つ英文であり、各パラグラフのトピックセンテンスを把握することが正答に直結しているため、パラグラフリディングの練習をする材料としてたいへん適しています。センター試験の長文問題は配点が大きいため、これらを確実に正解していくことが求められます。

リスニング

センター試験にはリスニングが50点分含まれていますが、ここ数年のリスニング平均点はおおむね5割~6割で推移しています。国公立大学や私立の難関大学を目指す受験生は、センター英語の筆記試験で8割以上の得点が求められます。筆記に加えてリスニングの配点が50点ありますので、こちらでもできるだけ高得点を狙いたいところです。センター英語リスニングと英検リスニングは使用されている語彙レベルはほぼ同等ですので、英検リスニングの練習はセンターリスニング対策のための有効な方法の1つになるでしょう。もちろん形式も含めてまったく同じわけではありません。例えば音声が流れる回数はセンター英語試験では2回ですが、英検リスニングでは1度だけしか聴くことができません。英検リスニングで1度だけ音声を聴いて内容を処理する英語力と集中力を鍛えることはセンター試験英語リスニングで余裕を持って聴けることにつながるでしょう。

リスニング力の副産物

リスニング力のトレーニングはリーディング力も支えてくれます。私たちは文字を読んで理解する過程で、脳内で文字を音声化していると言われています。声に出して読むと文章が記憶に残りやすくなることがありますが、これは音声化することで理解のレベルが深くなるからと考えられています。リスニング力を強化し、音声と文字の一体感を高めることで速く深く読めるようになります。逆に、精読と速読を組み合わせた練習でリーディング力を鍛えることはリスニング力の強化にもつながります。


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