入試現代文の学び方
一口に現代文とは言うものの、センター試験、国公立二次試験、私立大学入試とそれぞれそのスタイルや試験の狙いが異なります。ただ、読んでわかればいいのでは、といった単純なものではありません。そこで試験のタイプごとに問われている力が何なのか、どう対処すればよいのか考えてみましょう。
センター試験
センター試験の特色は、評論と小説が必ず1題ずつ出題されるということと、それぞれ1題20分を目安に解答しなければならない(現古漢4題で80分)という結構時間的にハードな試験だと言えます。ゆっくり読んで考えればそれほどではないものの、読むスピードの遅い者やまだ確固とした読解力が身についていないものにとっては、 時間的にかなり厳しい試験だと言えます。対策としては、評論に関してはまず読み慣れること。その際、いわゆる評論語をマスターし語彙力を高めるとともに、扱われる頻出の話題についてそれぞれ理解を深めることです。たしかに読んでいて何のことだかチンプンカンプンでは、20分で読み解くことは至難の業ですよね。小説については、得意な者と苦手な者の最も差が開く分野ですので、苦手な人は早めに小説に説き慣れることが大切です。小説は場面の変化、心情の変化、そしてそれぞれの関わりを丁寧に読み取ることができるかどうかが問われます。決して自分勝手に物語を作り上げてはなりません。また、いかにもの選択肢に騙されないことも大切です。(茗渓コーチングシステムでは、直前期にはセンターの読解演習を集中して行います。読み慣れ、解き慣れることで解答時間の短縮を図ります。)
国公立二次試験
国公立大学では、一次試験として客観式のセンター試験を課していることから、 二次試験では主に記述・論述力が問われます。ただ各大学独自の試験ですので、 当然それぞれの大学のカラーが現れてきます。東北大や京都大では小説が出題されていますし、 一橋大や新潟大では要約が出題されています。また、お茶の水女子大では「自分自身の考えを300字以内で」述べるよう求めています。読み解く力に加えて、要約力、表現力、そして受験者自身の知識や、場合によっては人格まで問われるかもしれません。志望校が決まったらまずその大学がどんな出題をしているのかを確かめましょう。そしてその試験が求めている力をしっかりと培っていくことが大切です。(茗渓コーチングシステムでは記述式入試の志望者には個別に添削指導も行います。個別の指導を通して着実に記述力を高めていきます。)
私立大学試験
センター試験が客観式の読解に徹し、国公立二次では記述・論述力を求めてくるのに対し、私立大学はさまざまな問題形式を駆使して多角的に受験者の力を見ようとしています。基本は読解力ですが、 センターのように「どういうことか」「なぜか」という正攻法の問いだけではなく、空欄補充あり、脱文挿入あり、短文整序(段落整序)ありとその問い方はバラエティに富んでいます。早大・人間科学部のように「本文には余分の文が入っている。それを指摘せよ。」なんてのもあります。 (良問かどうかは別として・・・)一方答えるほうも、記号で答える、抜き出して答える、○○字で説明する、 適切な語を考えて答えるなど、答え方もさまざまです。
問い方も答え方もさまざまですが、問われている力はまず第一に読解力、次に記述力(表現力)、そして語彙力・漢字力、最後に幅広い知識や認識です。読解力、記述・表現力が問われるのは当然のことですし国公立も同じなのですが、語彙力・漢字力が直接間接に厳しく問われてくるのが私立大学の特色とも言えます。ですから、対策としては読解力、記述・表現力を鍛え、さまざま分野についての(とくに現代社会や現代思潮に関する)幅広い知識を培っていくことは国公立と変わらないことですが、語彙力・漢字力を意識的に鍛えていくことが求められます。それが穴埋めという形で対応できるかどうかで、 私立大学の合否が左右されるといっても過言ではないでしょう。私立大学では、テクニカルな問題にも対応できるように日頃の問題演習が不可欠です。(茗渓コーチングシステムでは、たとえば評論語の穴埋め問題だけでも200題以上の演習を行います。たとえ言葉を知っていたとしても、問題が解けなくては真の知識とは言えません。)
参考までに
次の問題は実際に専修大学で出題された問題です。レベルとしては標準的ですが、語彙力、読解力がともに身に付いていないと結構てこずるかもしれません。
問 空欄にあてはまる語としてもっとも適当なものを次の1~5の中から一つ選べ。
- 演繹的
- 外在的
- 統一的
- 背理的
- 一過的