一般的な日本人が英語を学習するのにおいて、比較的容易なのは文法(グラマ)と読解(リーディング)です。これらについては書店に行けば様々な参考書・問題集が手に入りますので、それを黙々とこなして行けばよいだけです。逆に学習が困難なのが自由作文(ライティング)と英会話(スピーキング)です。自由作文は、参考書や問題集を一人で実施していても、模範解答と自分の書いた文章が同じになることはまずありませんから、自己採点しつつ独学していくということができません。スピーキングも相手がいなければ会話は成立しませんし、自分の話している内容が相手にちゃんと伝わっているか、使用した表現が適切かどうかなどは自分一人では判断がつきません。
リスニングは、学習難易度ということに関しては、その中間あたりにあります。リスニング学習自体は独学でも十分可能です。しかし、英会話学校に通っている生徒や英検受験を間近に控えている生徒でもないかぎり、なかなかリスニング学習を自発的にしようとはしません。CD付きのリスニング問題集の類は書店でも入手できますが、段階別・分野別で様々な教材が利用可能な読解や文法に比べると限りがありますので、とっつき辛いのでしょうか。中高一貫校の中には定期試験でリスニング試験を課しているところもありますが、試験一週間前の対策勉強で「よし、リスニングをやろう」という生徒はまずいません。教科書レッスン2から3(50ページから65ページ)、あるいは受動態と不定詞の応用などの範囲をやっておけばいいという類の問題ではないことが多いので、やりようがないわけです。また、受験勉強においても、多くの私大入試ではリスニングは必要ありませんので、必要度が他技能と比べ落ちるというのもあります。
とは言え、国立大学入試ではセンター試験(2018年4月入学の新高校1年生からは英語民間試験)がありますし、東大や一橋などでは二次試験にもリスニングが課されます。私大入試でもセンター利用入試がありますし、TEAPや英検を利用した選抜方法もありますから、リスニングを捨ててしまうと選択肢を大きく狭めてしまうことになるので、あまり賢明ではありません。
では、リスニングはどのように学習すると良いのでしょうか。まずは英検受験を利用することです。一貫校生の場合、高校受験がありませんので、大学受験は多くの生徒にとって何年も先の遠い目標になります。仮に志望校の入試でリスニングが必要な場合でもなかなか今すぐ始めようという気にはなりません。そこで、年3回受験機会のある英検が、英語学習、とりわけリスニング学習に張り合いを持たせるのに丁度いい間近の目標となるわけです。
(続く)。
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