読解演習…集団授業の弱点
Panopticon 集団授業で読解演習を行う場合、担当講師は自分が授業準備の際に事前にピックアップした「ここは重要だ!」と思うポイントを中心に解説を進めていきます。しかしそうした講師主導の解説授業は、時に生徒側では「それ私すでに知っているんで、あらためて解説してもらう必要ないです…」といった内容まで含んでしまうことがままあり、どうしても無駄のある冗長な解説になりがちです。

逆に「こんな基本的なことはこのクラスレベルの生徒はみんな分かっているはずだから解説不要だろう!」と判断して講師側がスルーした箇所が実はある生徒にとっては定着不十分で早急に復習を要する重要文法事項に関わるものであったというようなこともありえます。これは、個々の生徒でそれぞれ理解が不足している箇所というのはマチマチですから(例:体調不良でたまたま休んだ日の文法授業の内容が理解不足になる場合)、生徒の学力の高低に関わらず誰にでも起こりうることです。

ここでもし生徒が自分で「この長文の特にこの箇所は構文もうまく取れないしちょっと解釈が難しいな…」と気付くことができれば、仮にその箇所が読解演習の集団授業内で扱われなかったとしても授業後に自ら講師に質問に行って解決することができます。しかし、生徒自身が具体的に自分がどこをどう理解できていないのか正確に把握できていて、それを解決すべく講師に簡潔で的確な質問ができるほど自己分析がちゃんとできているのであれば、それはそもそも大した問題ではないでしょう。質問せずとも自分で参考書やネットで調べればいずれ自己解決できうる程度の代物です。

より深刻なのは生徒自身が自分の理解不足している箇所にまったく気づいていない場合です。そうした場合、長文を頭から最後まで通して読んでみても何かボヤーっとした不十分な理解であるのは自覚できても、具体的に何が原因でそうした不十分な理解になっているのかが生徒自身には皆目見当もつきません。そんな状態では講師に集団授業後の限られた時間を割いてもらって質問対応してもらうわけにもいきませんので、当面はそのまま放置してしまうことになります。読解演習をさらに積み重ねていくことで総合的な英語力を高めていけば(多読による物量作戦)いずれは己の不足部分に気づくことができるようになるでしょうが、結構な遠回りをすることになります。

生徒が参考書を使用して読解演習を自学自習する場合も同様です。参考書に掲載されている解説は、紙面の制約もあるゆえ、あくまで筆者(である某大手予備校講師)の想定する平均的読者にとっての最大公約数なポイントのみを中心に扱います。その取捨選択から漏れた箇所で読者である生徒が実は理解不足である場合などにはお手上げとなります。また、仮に生徒の理解が不足している箇所についての解説もちゃんとその参考書で網羅されている場合であっても、まず生徒自身が己の知識不足に気づいていなければそれを活かすこともできないわけで、まったくの宝の持ち腐れとなります。


読解演習におけるプロ個別の強み

A Young Scholar and his Tutor 個別指導は長文読解演習において特に力を発揮します。茗渓予備校での読解演習指導では、基本、生徒が読解問題を実施した際に誤った設問に関連する長文箇所を中心に生徒に和訳させて生徒の理解度を確認した上で解説を行いますが(生徒に訳文をノートに書き出させるのではなくその場で口頭で和訳させます)、全体的な設問正答率が芳しくない場合や講師判断で生徒の本文内容理解度に不安がある場合には長文の全文和訳確認を実施して生徒が自分では読めていると思い込んでいる部分まで含めてきっちりと精査していきます。

無論、あまりに生徒の設問正答率が低い場合には、その文章のレベルが生徒の英語力と乖離しすぎていて適正ではないわけですから、次に実施する問題については適宜レベル調整する必要があります。しかし難関大学の入試問題や英検準1級あるいは1級の読解問題を扱う場合、特に生徒がこのレベルの読解演習を開始したばかりの時期には、しばらく設問正答率が低い状態が続くことはよくあることです。また、難関レベルの長文にある程度慣れてきた英語力が既に高い生徒であっても、このレベルで扱う英文の難易度というのは青天井のようなものですから、取り掛かった文章によって急に本文内容を把握できなくなり設問正答率がガクっと下がってしまうといった事態はままあります。そうした際にも長文の全訳確認は必須になります。つまり、読解演習で扱う文章のレベルが上がれば上がるほど個別指導が強みを発揮するというわけです。

また、そうした高レベルの長文読解演習を指導するには、担当講師はオーバースペックなくらいでないと務まりません。長文を読んで何となく理解できてギリギリ合格ラインの7・8割くらいまで自力で設問に正答できる程度の学生バイト講師では、問題集冊子に掲載されている解説と和訳でお茶を濁す程度の解説しかできません。「この文章中のこの文の理解ができていないということは、この文法・語法の理解が足りていないということだ、であればこの問題集のこの演習を生徒に実施させて対処する必要がある」「この箇所では※※※学の※※※理論の話をしている。※※※とは…」というような出来合いではないカスタムメイドの指導を行うことができるのはプロ講師による個別指導のみです。


茗溪英語の圧倒的な読解演習量

読解力を養うには大量に英語文章を読み込んでいくより他に手はありません。単語・熟語を覚えるだけ、あるいは文法を学習するだけでは畳の上の水練のようなもので、本格的な英語文章を読めるようにはなりません。読解演習に手をつける前にひたすら英単語帳だけ何周も回したり、文法問題集だけひたすらやり込んでまず先に大学受験レベルまで一気に固める、といった歪な学習法も旧来の受験英語指導にはありましたが、到底効率的な学習法であるとは言えません。

無論、語彙(≒英単熟語知識)ゼロ・英文法知識ゼロでは英文を読むことはできませんが、英語学習を開始してある程度の文法知識と語彙が身についたら、頃合いを見て自分の英語力に相応の英語文章を適宜読んで(あるいは英語を「書いたり」「話したり」「聞いたり」することで)学んだ語彙と文法を実用に供していくことが肝要です。そうして英語文章を読んでいく際に、英単語帳で覚えた単語に遭遇したり、参考書や授業で習った文法の実例に触れていくことで、頭に詰め込んだだけの知識に血肉をつけて「使える生きた英語知識」としてしっかり再定着させることができるという相乗効果があります。

中学・高校の英語授業でも読解演習と文法学習は並行して行われていますが、読解にはもっぱら教科書掲載のほんの2、3ページの短い文章を使用して、その各文に丁寧に解説を入れて精読していく形の授業となるため、質的には高くても分量的には極めて乏しいものになります。中高一貫校で広く使用されている検定外教科書New Treasureであれば公立校で使用されている検定教科書New Crownなどに比べ収載語数は3倍以上になりますが、それでも十分な文章量とは言えません。例えばNew Treasure Stage 2のLesson 12だと、Grammar in Useが約280語のReadが約670語で合計約950語。1学期で教科書4章ほど(中間2章、期末2章)進むとすると、これに掛ける4で約3,800語の分量を同期間中に読むことになります。英検2級の読解問題が約1600語程度なので、1学期の4ヶ月程度を要して英検過去問2回分相当の分量(筆記85分×2の正味170分、作文と語彙四択問題の時間もこれに含まれているので実際にはそれ未満)しかありません。

茗渓予備校における中1生から高1生までの生徒の英語指導においては、学期中は学校で学習している文法事項の先行学習を中心に行いますが、学校授業が春夏冬の長期休暇で一時停止する季節講習期間に入り次第、英検の読解演習を実施しています。多く実施する生徒で過去問10年分から15年分、英検は各年3回あるので語数にして1600語×3×10〜15=48,000語〜72,000語もの分量を読むことになります。




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